研究課題/領域番号 |
22KJ1477
|
補助金の研究課題番号 |
22J21507 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中園 優也 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 胆汁中排泄 / トランスポーター / 肝臓 / 透過試験 / 薬物動態 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の医薬品設計においては薬物間相互作用の回避を目的にP450系薬物代謝酵素を介した代謝を回避する傾向があるため、胆汁中排泄が重要な消失過程となる。また、胆汁中排泄過程は薬物動態並びに肝毒性の発症に関与するため、本過程の定量・定性的な評価が必要となる。現在、サンドイッチ培養ヒト肝細胞を用いた胆汁中排泄評価が汎用されるが、胆管腔が肝細胞間に閉鎖系として形成されるため、胆汁中排泄された薬物の回収が技術的に難しく、定量性及びスループット性に欠ける。本研究では申請者が独自に樹立した開放系胆管腔を有する肝細胞培養系を用いた透過試験型の新規in vitro胆汁中排泄評価システムを樹立する。
|
研究実績の概要 |
本研究では申請者が独自に樹立した開放系胆管腔を有する肝細胞培養系(icHep)を用いて、透過試験による化合物のヒトin vivo胆汁中排泄クリアランス予測評価システムを樹立することを最終目的としている。これまでにicHepを透過試験に適用するために種々の特徴付けを行い、ヒト肝キメラマウス由来PXB-cellsにより構築したicHepを用いることで本研究の達成項目である透過試験による胆汁中排泄評価がicHepを用いて可能であることが示された。一方、icHepの開放系胆管腔の形成率は全胆管腔数の3割程度であり、透過試験により真の胆汁中排泄活性を評価するには胆管腔開孔率のさらなる向上が期待される培養条件を確立する必要がある。そこでclaudin以外の接着タンパク質に着目して胆管腔開孔率の向上を試みたところ、claudin以外の接着タンパク質をコーティング面に追加で作用させることにより胆管腔開孔率が向上することが見出された。加えて、胆管腔開孔率のさらなる向上を目指して、claudinのコーティング条件の改善を試みた。これまでの検討では無細胞合成したclaudinを界面活性剤で抽出しコーティングしていたため、器材へのコーティング効率が悪いという問題点があった。そこでclaudinを界面活性剤を用いずに抽出しコーティングした所、材一面への均一なclaudinのコーティングが達成できた。今後は、icHep透過試験系のトランスポーター誘導試験や薬物代謝を介した胆汁中排泄評価への応用性を検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果として、claudinをはじめとする接着タンパク質の培養器材への均一なコーティング手法を確立した。また、claudin以外の接着タンパク質をコーティングすることにより胆管腔開孔率を向上させたicHepの構築に成功した。さらに、この改良型icHepを用いて薬物の胆汁中排泄過程を透過試験により評価できることを実証した。icHepを用いた透過試験による胆汁中排泄評価は本年度での達成を見込んでいたため、順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
icHepを用いてヒト胆汁中排泄クリアランスが既知の薬物の透過試験を行い、得られたin vitro胆汁中排泄クリアランスから種々の生理学的及び薬物固有のパラメータを考慮し、ヒト胆汁中排泄クリアランスの予測手法の確立を行う。また、icHepのトランスポーター誘導試験への適用や代謝を介した胆汁中排泄評価系としての有用性を検証していく。
|