研究課題
特別研究員奨励費
アメリカン・アリゲーターをモデルとして,這歩き→直立姿勢進化のバイオメカニクスを研究した.這歩き動物における姿勢と体サイズの関連性を探るため,幼体~成体を用いて,四肢キネマティクス,床反力,骨ひずみを比較した.直立型の哺乳類では,大型化に伴い,四肢が屈曲→伸展姿勢へシフトするが,這歩き型のアリゲーターでも同様の姿勢シフトがあることを示した.また,這歩き時の骨ひずみは体サイズに比例し増加することから,大型個体は,直立気味の姿勢をとり骨ひずみを緩和している可能性が高い.これらの結果は,哺乳類における屈曲→伸展姿勢と,爬虫類における這歩き→直立姿勢のパラダイムが同様に体サイズ依存であることを示した.
2023年4月から12月まで、英国王立獣医大学を拠点に,アメリカンアリゲーターの運動解析に取組んだ。前年度に収集した歩行時の前肢の筋電データを解析し、肩・上腕の9つの筋肉の活動パターンを明らかにした。また、前肢の姿勢と肩の内転筋の活動量に相関があることを発見し、姿勢と筋活動の進化について議論した。これらの結果は、2024年1月にJournal of Anatomy誌に掲載された。英国滞在中には、アリゲーターの後肢の筋骨格モデルを修正し、歩行モデリングも行った。静的シュミレーションを使用して各筋の活動量を推定し、関節反力やセグメントの慣性特性データを入力し、四肢骨の骨幹部分にかかるストレスを推定した。その結果、アリゲーターでは大型個体ほど四肢骨のストレスが増大し、歩行能力が制限される可能性があることが示唆された。これらの結果をさらに分析し、検証を進め、論文化を目指している。また、2023年10月には、北インドにて、インドガビアルの運動解析も行った。四肢のキネマティクスや床反力の測定を行い、インドガビアルにみられる特異的な歩行と骨格形態の関連を調査し、ロコモーション進化の解明に役立てることを目指している。5年間の研究を通して、アリゲーターの幼体~成体を用いて、四肢キネマティクス測定と骨ひずみ測定を計画通りに進めることができた。また、当初予定していなかった前肢筋の筋電計測や、3D筋骨格モデルの作成及び歩行モデリングも行うことができた。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 16件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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