研究課題/領域番号 |
22KJ1515
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補助金の研究課題番号 |
21J01732 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 遥 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 潜在能力アプローチ / 食の倫理 / 食の社会学 / 貧困 / 食料政策 / ウェルビーイング / 徳倫理 / 栄養主義 / 母子世帯 / 食の貧困 / 善き食生活 / 卸売市場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は日本における「善き食生活」を理論的かつ実証的に明らかにすることである。食の倫理学(潜在能力アプローチ)と食の社会学(食事モデル論、食の近代化論)の方法論を用いて、現代日本の人々における「善き食生活」の内容をインタビュー調査・アンケート調査から実証的に明らかにする。続いて「善き食生活」の内容を歴史・国際比較によって相対化し、その継承発展の条件を見出すことを目指す。まずは文献分析から現代の中心的食規範(共食、主食主菜副菜など)の形成史を明らかにし、続いて東アジア諸国でもアンケート調査を実施し国際比較を行う。同研究成果から、食育や食料政策への実践的示唆を抽出したい。
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研究実績の概要 |
2022年度は以下3つの研究を実施した。第一に、前年度までに得ていた「善き食生活」全国アンケート調査(男女973名)の解析を進めた。貧困研究で用いられる「多次元型貧困測定アプローチ(Alkire-Foster Approach)」を応用して「善き食生活」の指標化につなげた。これにより、食生活のトータル性を考慮しつつ、長期モニタリングや集団間比較に最適な統合型指標を作成することが可能となる。現在までの成果は論文1件(Appetite誌)、学会報告2件として公表。第二に、現代の「善き食生活」の主な内容となっている家族主義的規範(主食主菜副菜、共食、一日三食、旬や栄養など)に着目し、近現代日本の食文化研究を総括しながら、同規範の形成過程と問題点を明らかにした。とりわけ、大正期に誕生した近代家族が全国普遍化した「家族の戦後体制」における食規範が重要であり、それを供給面から支えたフードシステムとともに「食生活の戦後体制」概念の具体的論証を目指している。現在までの成果は、日本的自然観に関する論文1件(Sustainability誌)、学会報告1件として公表。第三に、日本の「善き食生活」内容の豊富化・相対化をはかるため台湾との国際比較を実施した。国立台湾大学で1ヶ月間の在外研究を行い、台湾市民への食生活インタビュー、伝統市場や卸売市場や学校給食を中心としたフードシステム調査、食育政策を中心とした食規範の分析、台湾市民1,000名に対する「善き食生活」WEBアンケート調査を実施した。データは今後解析するが、すでに食育政策の文献調査結果は論文1件(栄養学雑誌)として公表済み。また、一連の分析結果は、前著『食育の理論と教授法』の英訳版書籍(Food Education and Gastronomic Tradition in Japan and France. 2022年11月出版. Routledge社)にも適宜統合し、成果公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「善き食生活」の内容に関する歴史的考証については、社会学における「近代家族」理論の視点から食生活戦後史を統合的に把握する方法を着想できたこと、一次・二次資料を用いて「食生活の戦後体制」の変遷史を実証的にたどることができたこと、これまで問題視されてきた「崩食」を統計データを用いて検証し、崩食は実態それ自体というよりも「規範と実態の乖離の増大」として捉える方が適切であることを導き出した点が、主な研究の進展であった。また「善き食生活」の国際比較研究を進展させるため、国立台湾大学の研究者と共同しながら、アンケート調査を年度内に実施するとともに、学校給食、食育政策、フードシステムといった「善き食生活」の社会的構成要件についてもデータを収集することができた。このように、当初計画を確実に達成しており、指標化にむけた新たな課題に直面しながらも、台湾調査のように当初計画以上の成果もあげることができているため、総合的に「おおむね順調に進展」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「善き食生活」の指標化にあたっては閾値の妥当性、算出方法など多くの課題がある。現在、食料・農業・農村基本法改正において「食料政策」の議論が進んでいるが、ここでいかなるモニタリング指標が求められるかという実践的知見から指標の精度向上に取り組む。また「善き食生活」の国際比較の次の段階として中国での調査実施を予定している。
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