研究課題/領域番号 |
22KJ1536
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補助金の研究課題番号 |
21J23582 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
東 秀憲 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | DNA / 光架橋 / 可視光 / 金属錯体 / 人工光合成 / FRET / フォトレドックス触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
天然の光合成系は反応中心の周りに多数の蛍光色素を距離や配向を厳密に制御して集積化することで、超高効率に反応中心へと光エネルギーを捕集し、反応中心で光エネルギーを化学エネルギーに変換している。本研究ではDNAを利用して天然の光合成系を模倣した人工光合成系の構築を目指す。我々はすでにDNAのjunction構造を骨格として蛍光色素を精密に制御した状態で集積化することで、高効率に光を捕集するアンテナを調製することに成功している。この光捕集アンテナの光エネルギーが集まる位置にフォトレドックス触媒と金属触媒を同時に導入することで捕集した光エネルギーを化学エネルギーに変換できることが期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度はDNA構造体に導入した金属錯体が触媒として機能するかについて調査した。三重鎖形成DNA にRu(bpy)3 を導入し、可視光を照射することでスチルベン導入二重鎖を架橋することを試みた。Ru(bpy)3は[2+2]環化付加反応を触媒することが知られている。この触媒作用を利用することで導入位置によってDNA 二重鎖の架橋位置を制御することが可能となる。スチルベンペアを1つ導入したポリプリン―ポリピリミジン配列に、Ru(bpy)3 を導入したポリピリミジン配列を添加することでスチルベンペアとRu(bpy)3 が近接した三重鎖を調製した。このDNA 三重鎖に456 nmの可視光を照射するとスチルベンの[2+2]環化付加反応の進行とDNA二重鎖の架橋反応の進行が観察された。一方、Ru(bpy)3を導入していないDNA三重鎖に可視光を照射しても反応の進行が観察されなかった。このことから、DNAに導入したRu(bpy)3がスチルベンの[2+2]環化付加反応を触媒しDNA二重鎖を架橋することが示された。Ru(bpy)3とスチルベンの励起エネルギーを計算するとRu(bpy)3からスチルベンへ三重項―三重項励起エネルギー移動することが示唆された。スチルベンの導入によってRu(bpy)3のリン光寿命が短くなることが明らかとなった。このことからRu(bpy)3からスチルベンへエネルギー移動していることが示された。スチルベンペアを2つ導入したDNA二重鎖の架橋位置をRu(bpy)3の導入位置によって制御できることも示された。以上より、Ru(bpy)3 によるスチルベンの[2+2]環化付加反応を利用することで、可視光によりDNA 二重鎖をRu(bpy)3 の導入位置依存的に架橋し安定化する手法の開発に成功した。この手法はDNA回路やDNAナノデバイスへの応用が期待できる。
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