研究課題/領域番号 |
22KJ1559
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補助金の研究課題番号 |
22J14105 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松波 伸浩 名古屋大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 古浄瑠璃 / 仮名草子 / 本文整定 / 注釈 / 挿絵 / 本文 / データベース / 整定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の目的は、近松以前の古浄瑠璃の詞章に整定・注釈を施し、挿絵の内容を言語化・タグ付けしてそれぞれデータベース化すること、その途中で判明した新事実を論文化し、データベースの改善へと繋げることである。古浄瑠璃は17世紀に行われた語り物の性格が強い演劇であり、庶民が耳で楽しんだ芸能である。すなわち、当時の人々の世界観を窺うに貴重な資料であり、語彙の資料としても重宝する。さらに江戸時代を通じて、浄瑠璃は絵入りの読み物としても受容され、行文や内容の理解には絵の分析が欠かせない。にも拘わらず、古浄瑠璃は稚拙な芸能と見なされ、研究が遅れていた。かかる状況を一挙に改善するのが本研究の志すところである。
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研究実績の概要 |
【研究期間全体の成果】古浄瑠璃本文を整定・注釈し、加えて挿絵へのタグ付け作業を推進し、それらを活用して古浄瑠璃の文学的研究を行なった。主な成果は、(1)約200点の古浄瑠璃作品の整定本文及び挿絵のタグ付けを完了したこと、(2)その結果、①古浄瑠璃作品の構想や世界観が近世期の他の小説や演劇の構想上の基盤となったこと、②浄瑠璃の人物描写は古浄瑠璃の時代に大きく深化したこと、③古浄瑠璃の詞章に含まれる語の用例が国語辞典の語釈を刷新し得ること、④他分野の文芸との交渉が見られるが明らかになった。 【最終年度の成果】前年度に引き続き、古浄瑠璃本文への整定・注釈の作業を進め、それを元にして古浄瑠璃の文学的研究を推進した。本年度の具体的な業績は、査読論文3編(うち全国学会誌2編)と口頭発表2件である。「「たのもし」の心性―言語資料としての古浄瑠璃―」は上記【研究機関全体の成果】で示した③に関わる業績であり、前年度の口頭発表に加筆修正し、全国学会誌『日本文学』第72巻8号(2023年8月)に掲載された。「田村丸物古浄瑠璃の主題と構想」は上記①に関わる業績であり、東海近世文学会第311回例会(2023年4月)で口頭発表の上、『名古屋大学国語国文学』第116号(2023年11月)に掲載された。「古浄瑠璃における悪と悪役の造型」は、上記②に関わる業績であり、前年度の口頭発表を加筆修正し、全国学会誌『文学・語学』第239号(2023年12月)に掲載された。また、上記④に関わる「女の見せる<知略>と<勇力>―後期古浄瑠璃の女性像―」を日本文学協会第42回研究発表大会(2023年7月、於二松学舎大学)で口頭発表し、現在論文化の最中である。
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