研究課題/領域番号 |
22KJ1577
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補助金の研究課題番号 |
22J15480 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥田 省吾 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | キラリティ / キラル固定相 / 光学分割 / ポリアセチレン / らせん記憶 / らせん構造 / らせん誘起 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、生体系にみられる機能の人工的な発現を目指して、ラセン構造を形成する高分子の合成とその性質に関する研究が世界中で活発に行われている。しかし、人工ラセン高分子の触媒、認識、情報等に関連する機能レベルは、ラセン集合系を操る生体系に遠く及ばないのが現状である。本研究では、独自の分子設計に基づき開発する新規な動的ラセン高分子が発現する「特異なラセン誘起・記憶とラセン反転挙動」と「星型ポリマーに潜在する高分子効果」を巧みに掛け合わせることで、極微量の光学活性ゲストにより、ラセン構造を瞬時に誘起・記憶・反転可能かつ実用レベルの高性能を発現する「次世代のスイッチング型キラル材料」の開発を試みる。
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研究実績の概要 |
申請者の研究グループはこれまでに、動的軸性キラルなビフェニル基を側鎖に導入したポリ(ビフェニルイルアセチレン)(PBPA)誘導体が、光学活性ゲスト化合物のキラリティに応答して一方向巻きらせん構造を形成し(らせん誘起)、光学活性ゲストを除去した後も、そのらせん構造が記憶として保持されること(らせん記憶)を見出している。以上の背景を踏まえ、今年度は、ビフェニル基の4’位にアミドスペーサー (-NHCO-) を介してアキラル及びキラルなアミノ酸を導入した新規ポリ(ビフェニルイルアセチレン)誘導体を設計・合成し、らせん構造制御及び高速液体クロマトグラフィー用キラル固定相への応用について検討を行い、以下の成果を得た。 光学活性アルコール存在下、アキラルなグリシン残基をビフェニル基の4’位に導入したポリマーの円二色性 (CD) スペクトルを測定したところ、ポリマー主鎖の吸収領域に明確な誘起CDが瞬時に観測された。また、光学活性ゲストを除去した後も、CD強度にほとんど変化が見られなかったことから、誘起されたらせん構造を記憶として保持できることが分かった。続いて、光学活性なアミノ酸残基を有するポリマーのCDスペクトルを測定したところ、主鎖の吸収領域に明確なCDが発現したことから、側鎖に導入した光学活性基により主鎖のらせん構造が一方向巻きに制御可能であることが分かった。これらのポリマーのCDパターンは溶媒の種類によって著しく変化し、溶媒環境に依存してらせん構造を可逆的に変換できることが明らかとなった。さらに、これらのポリマーを用いてキラル固定相を調製し、光学分割能の評価を行ったところ、L-ロイシン残基を有するポリマーが様々なラセミ体に対して良好な光学分割能を示すことが分かった。さらに、コーティング溶媒を変化させることで、らせん構造変換に基づいた溶出順序のスイッチングが可能であることも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、アキラル及びキラルなアミノ酸残基をアミド結合を介して側鎖に導入したポリ(ビフェニルイルアセチレン)(PBPA)誘導体を新たに合成し、NMRや円二色性(CD)測定等を駆使することで、らせん構造の安定性や動的性質について詳細に調べるとともに、キラル固定相への応用が可能かを検討した。その結果、側鎖にアキラルなグリシン残基を有するPBPA誘導体が、光学活性ゲスト化合物存在下で一方向巻きらせん構造を形成し、ゲストを除去した後も、そのらせん構造が記憶として保持されることを見出した。また、キラルなアミノ酸残基を有するPBPA誘導体が、側鎖に導入した光学活性基により主鎖のらせん構造が一方向巻きに制御可能であることを見出し、これらのポリマーが溶媒環境に依存してらせん構造を可逆的に変換できることも明らかにした。加えて、L-ロイシン残基を有するポリマーを用いて調製したキラル固定相が、様々なラセミ体に対して良好な光学分割能を示すことを明らかにした。さらに、コーティング溶媒を変化させることで、らせん構造変換に基づいた溶出順序のスイッチングが可能であることも見出した。この成果は、学術論文としてまとめ上げ、Macromolecules 誌に掲載された。以上のことから、期待通りの研究の進展があったと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ポリ(ビフェニルイル)アセチレン系キラル固定相の更なる光学分割能の向上を目指し、側鎖に導入する置換基や導入位置の最適化を行う。また、シリカゲル上での架橋反応を利用したシリカゲル上への固定化についても検討を行い、繰り返し分割対象の溶出順序を切り替え可能なスイッチング型キラル固定相の開発についても挑戦する。
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