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無機2次元材料における原子層制御と新規電極触媒の創出

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1591
補助金の研究課題番号 22J20348 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

安藤 純也  名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードナノシート / メタレン / パラジウム / 電気化学触媒 / 水素発生反応 / 貴金属 / 原子層触媒
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は、貴金属の使用量を減らした高活性触媒の開発を目指し、原子数層分の非常に薄い構造を持つ貴金属ナノシートの触媒活性化メカニズムを解明する事である。
原子数層分の厚みと、マイクロメートルオーダーの幅を持つ貴金属ナノシートは、その高い比表面積から貴金属を効率的に仕様することを可能にする。加えて貴金属は、数原子層の厚みで特異的に高い触媒活性を示すことから、貴金属の効果的な利用形態として期待される。
本研究では、ナノシートの厚み評価、触媒特性評価、電子状態評価などを組み合わせ、この特異的な触媒活性化機構の解明を目指す。

研究実績の概要

(1) Pd ナノシートの高活性触媒サイトの特定:前年度新たな合成法の開発に成功したPdナノシートに対して、電気化学反応下での物質の高さ変化をその場観察することが可能な、電気化学原子間力顕微鏡 (EC-AFM) を適用することにより、HClO4)水溶液中での水素発生反応時における、表面の高さ分析を行った。その結果、HClO4溶液中のPdナノシートに対し電圧を印可すると、そのエッジサイト5 nm程度の幅において、その高さ上昇し、電圧印可を終えると元の高さに戻ることが確認された。このことから、Pdナノシートは特にそのエッジサイトにおいて高い触媒活性を有することを確かめた。
(2) Pdナノシートの原子層制御技術の開発: 9原子層の厚みを有するPdナノシートを鋳型としてその表面に片側1層ずつ、両面で計2層ずつあらたなPd層を塗り重ね、原子層数11層、13層、15層の厚さのPdナノシートを、溶液中でフリースタンディングに得ることの出来る手法を新たに開発した。また透過型電子顕微鏡を用いた電子回折像の撮影により、原子層数を増加させたPdナノシートは単結晶性を維持していることを確認した。
(3) 貴金属原子膜の電子状態と触媒特性への影響の解明:原子層数を制御したPdナノシートに対して、SPring-8での放射光XPS測定と第一原理計算を組み合わせた詳細な電子状態評価を行い、触媒特性評価の結果と組み合わせることで、貴金属原子膜の高い触媒活性の起源を議論した。特に、一般に触媒活性に大きく影響すると考えられている価電子帯の評価においては、SPring-8での測定により得られた高解像度の価電子帯XPSスペクトルと、9 L、11 L、13 L、15 Lの厚みを再現した第一原理計算モデルの計算結果により、dバンドセンターの原子層数への依存性と、その要因となる価電子帯の電子状態密度の変化を解明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、当初予定をしていた研究目標の一つである無機2次元材料の原子層制御を、パラジウムナノシートの両面にパラジウム層を塗り重なて行くことにより達成した。また、原子層制御されたパラジウムナノシートを、当研究室において開発されたナノシートの製膜手法と組み合わせることにより、パラジウムナノシートを基板上に緻密製膜し、SPring-8 BL09XUでのHAXPES測定を実施した。これにより、高分解能でのナノシート表面の表面電荷や伝導帯の電子状態密度の評価を行い、その電気化学触媒特性への影響を解明した。
また、EC-AFMを用いたパラジウムナノシートの高活性触媒サイトの解明など当初の目標以上の研究成果も得られている。

今後の研究の推進方策

発展的な研究課題として、前年度より取り組んでいるコアシェルナノシートの特性評価を継続して行っていく。本年度はSPring-8のBL09XUにてHAXPESを用いた伝導帯の状態密度の分析を行ったため、次年度では第一原理計算を用いた状態密度計算を行う。これにより、特異的に高い触媒活性を有するナノシート触媒の合成およびコアシェル触媒の高い触媒活性の起源の解明を目指す。
また、パラジウナノシート自体に対しても、より薄い膜厚のナノシートの合成や直径の制御など、より精密な形状・特性制御を目指していく。
これら精密に形状を制御したパラジウムナノシートに対して電子状態評価、電気化学特性評価、触媒活性サイトの評価を行うことによって、二次元物質に特有の触媒特性について更に精細な議論・解明が可能になると考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Facile synthesis of Pd nanosheets and implications for superior catalytic activity2024

    • 著者名/発表者名
      S. Ando, E. Yamamoto, M. Kobayashi, A. Kumatani, M. Osada
    • 雑誌名

      ACS Nano

      巻: 18 号: 1 ページ: 461-469

    • DOI

      10.1021/acsnano.3c07861

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] パラジウムナノシートの精密合成と触媒特性2024

    • 著者名/発表者名
      安藤 純也、山本 瑛祐、小林 亮、熊谷 明哉、長田 実
    • 学会等名
      6大学連携プロジェクト公開討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] パラジウムナノシートの新規合成と触媒特性2023

    • 著者名/発表者名
      安藤 純也、山本 瑛祐、小林 亮、熊谷 明哉、長田 実
    • 学会等名
      第13回 CSJ化学フェスタ2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] A noble synthesis method of palladium nanosheets and mechanism of boosted catalytic activity.2023

    • 著者名/発表者名
      Sumiya Ando, Eisuke Yamamoto, Makoto Kobayashi, Akichika Kumatani, Minoru Osada
    • 学会等名
      The 3rd International Symposium on Design & Engineering by Joint Inverse Innovation for Materials Architecture (DEJI2MA-3)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Facile Synthesis of Pd Nanosheets and Mechanism of Boosted Catalytic Activity.2023

    • 著者名/発表者名
      Sumiya Ando, Eisuke Yamamoto, Makoto Kobayashi, Akichika Kumatani, Minoru Osada
    • 学会等名
      International Conference on Materials and Systems for Sustainability 2023 (ICMaSS 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Tailored synthesis of palladium nanosheets and mechanism of boosted catalytic activity.2023

    • 著者名/発表者名
      Sumiya Ando, Eisuke Yamamoto, Makoto Kobayashi, Akichika Kumatani, Minoru Osada
    • 学会等名
      A3 Joint Symposium of Emerging Materials Innovation
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] パラジウムナノシートの新規合成と原子層制御2023

    • 著者名/発表者名
      安藤純也, 山本瑛祐, 小林 亮, 長田 実
    • 学会等名
      日本化学会 第103春季年会 (2023)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 分子レベルの薄さのパラジウムナノシートを開発 ~世界トップクラスの水素発生触媒を、低温で簡便に合成~

    • URL

      https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2023/11/post-588.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 分子レベルの薄さのパラジウムナノシートを開発 ~世界トップクラスの水素発生触媒を、低温で簡便に合成~

    • URL

      https://www.imass.nagoya-u.ac.jp/research/20231114_osada.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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