配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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研究開始時の研究の概要 |
本研究では, 数学の応用分野に関係する性質を考え, それに関係する個数評価を行う. 特に, 数列に対する距離的Poisson性 (metric Poissonian property) と加法的エネルギー (additive energy) の関係を研究する. 前者は数列の分布に関する性質で, 後者は特定のDiophantine方程式の解の個数である. 主な目標は, 特定の条件を満たす自然数の組の個数を (増加レートの意味で) 正確に評価することである. また, 有限体の場合にも類似の問題を扱い, 個数評価を行う.
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研究実績の概要 |
2023年度は主に次の2つを研究した: (1) Piatetski-Shapiro列に含まれる線型方程式の解の個数の評価, (2) 等差数列中の[x/n]列の分布など (鈴木, 齋藤, 武田との共同研究). 以下, (1)について述べる. (2)は継続して研究する可能性が高いため, 2024年度の "研究実績の概要" に記載予定である.
以下, 指数aのPiatetski-Shapiro列をPS(a)と表す. 線型方程式がPS(a)に解を持つか, という問題を考える. 既存の研究では解の個数の無限性や有限性がよく研究されている. 私は以前の研究で, PS(a)に含まれる方程式y-x=Nの解の個数を調べ, 1<a<1.717のときに漸近公式 (Nを正の無限大に近づける場合) を示した. 2023年度は, PS(a)に含まれる方程式x+y=Nの解の個数を調べ, 1<a<6/5のときに漸近公式を示し, 1<a<4/3のときに非漸近的な評価を行った. さらに, PS(a)のadditive energyの評価も行った. 数列のadditive energyは数列の分布と関係があることが知られており, 鈴木, 齋藤, 武田との共同研究では[x/n]列の場合にその関係を詳しく調べる予定である.
最後に, 2022年度の "研究実績の概要" に記載した "有限体上の部分空間に含まれる線型独立なproduct vectorの個数" について簡単に述べる. 2022年度に示した有限体の場合の個数評価は (一般には) 最良ではない. この課題を解決するために, 2023年度は全体空間の次元が小さい場合に最良の個数評価を得ることができた. しかし, そのような特殊な場合を除き, 個数評価を改良することができなかった. そもそも改良できない可能性も考え, 反例を探したが, まだ見つかっていない.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は, [x/n]列を用いて, 数列のadditive energyと数列の分布の関係を調べる予定である. また, product vectorの個数に関する研究に区切りをつけ, 論文投稿まで行いたい. 有限体上のベクトル空間は符号の構成に用いられるため, これまでと同様に, 応用分野の情報収集を適宜行う予定である.
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