研究課題/領域番号 |
22KJ1643
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補助金の研究課題番号 |
21J00465 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清野 結大 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(CPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | CMB / Stimulator / ニュートリノ / 宇宙背景放射 / インフレーション / 原始重力波 / 超伝導検出器 / TES |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測により、宇宙創世記の物理を探索する。特に宇宙初期における時空の加速度的膨張「インフレーション」によって引き起こされる、原始重力波の発見を目指す。原始重力波は、CMBの偏光分布に空間非対称なパターンを刻印する。その強度はインフレーションモデルの多くでr(テンソルスカラー比)~0.01と予言される 。 私はSimons Observatory実験に参画し、4台の望遠鏡でCMBのB-mode観測を行う。望遠鏡の超伝導検出器や較正装置の開発、観測サイトにおけるコミッショニングを主導し、世界最高感度(r=0.003)の原始重力波探索を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の精密測定による、原始重力波やニュートリノ質量和の観測に挑む。史上最大の望遠鏡群によるCMB実験Simons Observatoryに参加し、これら物理を網羅する測定を行う。観測で重要となるのは、超伝導光検出器とその較正装置の開発である。計十万チャンネルにも及ぶ超伝導検出器を100mKの極低温で動作させ、さらに環境ノイズで敏感に変化する応答性を、随時較正することが精密測定の肝となる。 これまで開発してきた検出器の応答性の較正装置stimulatorは本年度完成し、実験サイトへの導入を待つばかりとなった。昨年度までに各パーツの作成とエレクトロニクスの製作を完了しており、本年度はその組立、リモートコントロールのソフトウェア開発、高温のヒーター(マイクロ波の光源)や高速回転するチョッパー等のすべての動作試験を達成した。さらに系統誤差に影響する、断熱性能の大幅な改善も行った。望遠鏡ミラーにstimulatorを組み付けるテストも行い、期待通り問題ないことを確認した。現在製造中の望遠鏡ミラーの完成後に、ともに実験サイトへ搬入・導入される予定である。 検出器作成は原因不明だった複数の不具合の究明や、その修正手法の確立によって迅速化され、Simons Observatory実験の中周波・高周波検出器全39個の作成を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
較正装置Stimulatorの開発・作成を予定通り達成した。加えてマイクロ波の光源である高温のヒーターの断熱を改良し、温度安定性すなわち較正光源の安定性を大幅に改善した(100℃->1℃)。stimulatorを搭載する望遠鏡ミラーとの組付け確認も完了し、まさに実験サイトへの導入を待つばかりとなった。 検出器作成において重要となるのは、Si基板内の配線・1万以上にも及ぶwire bonding・グラウンド間のショートの理解及び除去である。これらは目に見えないことが多い上、一箇所の不具合で半数以上の検出器チャンネルを使えなくしてしまう。本年度は、これまで原因不明でチャンネル数の収率を下げていたショートの原因を複数特定し、ショートを大まかに6種に分類できるようになった。また簡単な測定でその分類や位置を特定できる手法を開発し、修正を施せるようになった。これにより検出器作成が迅速化し、Simons Observatory実験の中周波・高周波検出器全39個の作成を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
較正装置stimulatorを搭載する大口径望遠鏡のミラーは、2024年度に製造完了予定である。完了後、ミラーとともにstimulatorを実験サイトへ導入する。また実験サイトでのコミッショニングも主導し、大口径望遠鏡でのCMB観測を開始する。 検出器は現在、ノイズ耐性を強化したものを作成中である。すでにSimons Observatoryの小口径望遠鏡で使われている検出器との交換を計画しており、これも2024年度に実施予定である。
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