研究課題/領域番号 |
22KJ1672
|
補助金の研究課題番号 |
21J20558 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
窪田 博之 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | ビニルエーテル / ベンジルビニルエーテル / ビニルアルコール / カチオン重合 / 交互共重合 / 交互ポリマー / ガラス転移温度 / オルトニトロベンジル / ベンズアルデヒド / アセタール / 光分解 / トポロジー / ジビニルエーテル / マレイミド / ラジカル重合 / 環化重合 / 環化ポリマー |
研究開始時の研究の概要 |
モノマーの合理的な分子設計によりこれまで合成困難だった高度に制御された構造を有する環状ポリマーの合成を可能にし,その物性評価を通して環状ポリマーの一次構造と物性の関係解明を図る。具体的には,適切な波長の光照射で変換可能な側鎖やバルキーかつ変換可能な側鎖を有するビニルエーテルモノマーを設計することで,環状ポリビニルアルコールや,ビニルアルコールと汎用ビニルエーテルからなる環状交互配列コポリマーの合成を目指す。
|
研究実績の概要 |
最終年度ではべンジルビニルエーテルのベンジル位にイソプロピル(iPr)基を導入したモノマーを独自に設計した。iPr基の導入によりビニル基の電子密度(反応性)を高めるとともにかさ高さを与え単独重合性を低下させることで、より反応性の低いビニル基と小さな側鎖を有するノルマルブチルビニルエーテル(nBVE)との交互カチオン共重合を実現した。iPr基が結合したベンジル側鎖は、パラジウム炭素を触媒とした水素還元反応を強酸であるトリフルオロ酢酸(TFA)中で行うことにより脱保護することができた。ただし一度生成したビニルアルコール(VA)ユニットがTFAと縮合してしまったため、続く塩基触媒存在下でのメタノリシスによりVA/nBVE交互ポリマーを得た。この交互共重合体はVA/nBVE統計的共重合体に比べて4.5℃高いガラス転移温度を示した。これは交互ポリマーではVAユニットの水酸基とnBVEユニットのエーテル酸素で効率的な水素結合が形成できるためだと考えられる。本研究成果をまとめた論文は高分子化学分野において権威ある雑誌であるACS Macro Lettersに受理された。 研究期間全体を通じ、合理的なVE設計により様々な一次構造制御ポリマーの精密合成を達成した。一年目にはジビニルエーテルとマレイミドからなる交互配列を有する環化ポリマー、二年目には紫外光照射で側鎖を脱保護できるVEとパラトルアルデヒドからなる光分解性交互ポリマー、三年目には上述のVA/VE交互ポリマーの合成に成功し、特徴的な一次構造が物性に及ぼす効果を明らかにした。それぞれをまとめた論文は、Macromolecules, Angewandte Chemie International Edition,ACS Macro Lettersといったインパクトファクターの高い雑誌に掲載され、引用数の増加から注目度の高さがうかがえる。
|