研究課題/領域番号 |
22KJ1679
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補助金の研究課題番号 |
21J21257 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長澤 耕樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2022年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 極限環境 / 酸性土壌 / 低pH耐性 / 硫気孔原 / ヤマタヌキラン / 適応進化 / 酸性土壌適応 / 極限植物 |
研究開始時の研究の概要 |
地面に根を張る植物にとって,その場の土壌に適応することは生死に関わる重要な問題である.カヤツリグサ科ヤマタヌキランは東北地方の火山地帯にのみ分布し,火山ガスによって激しく酸化された火山性強酸性土壌(pH=2-3)に生育する.本種は非強酸性土壌に生育する種を姉妹種にもつことから,種分化の段階で新規に強酸性土壌へ適応を遂げたと考えられる.本研究ではヤマタヌキランの低pH耐性とAl耐性に関わる遺伝的基盤の解明を通じて,火山環境を舞台とした植物の適応進化過程を解明することを目指す.
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研究実績の概要 |
火山地域に点在する噴気孔周辺にのみ生育する極限植物ヤマタヌキランを対象に,本種の火山性強酸性土壌への適応機構の解明を目指した.前年度までの結果から,本種の適応には低pH(pH=2-3)耐性の新たな獲得が重要であったことや,その低pH耐性の獲得には遺伝子重複によるペルオキシダーゼ遺伝子数の増加が重要な役割を果たしたことが示唆された.そこで,最終年度はペルオキシダーゼ活性阻害剤を用いた水耕栽培実験から,ペルオキシダーゼ遺伝子がヤマタヌキランの低pH耐性に寄与するのかどうかを検証した.実験にはヤマタヌキランと姉妹種であるコタヌキランを用い,発芽後3ヶ月の個体を使用した.処理区には,pH=3.0と4.5の2つの低pH溶液に阻害剤の有無を組み合わせた4つの処理区を設定し,各処理区あたり各種10個体を使用した.以上の実験の結果,姉妹種であるコタヌキランでは阻害剤の有無にかかわらずpH=4.5で生育阻害が認められなかった一方,pH=3.0においては生育阻害が認められた.また,ヤマタヌキランではコタヌキランと同様,pH=4.5では阻害剤の有無にかかわらず生育阻害が認められなかった一方で,pH=3.0においては阻害剤を添加した処理区においてのみ生育阻害が認められた.以上の結果より,ヤマタヌキランの低pH耐性には,今まで低pH耐性との関連があまり知られていないペルオキシダーゼ遺伝子が重要な役割を果たす可能性が高いことが示唆された.以上の結果は,比較的知見の少ない植物の低pH耐性機構の理解に貢献するだけでなく,火山大国日本における植物多様性形成過程を理解するうえでも重要な示唆を与えるものと考えられる.
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