研究課題/領域番号 |
22KJ1694
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補助金の研究課題番号 |
21J22267 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 京都大学 (2022-2023) 金沢大学 (2021) |
研究代表者 |
佐藤 由季也 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 合成反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、有機ボレート種の合理的設計とその光物性に基づき、直接励起法による高難度分子変換および触媒的直接励起法の確立を目指す。具体的には、電荷錯体形成に基づく有機ボレートと反応剤との一電子移動を利用した高難易度分子変換の開発および有機ボレート種の触媒的直接励起法の開発を実施する。本研究は、合成化学や工業プロセスへの基盤技術のみならず、構築困難な分子の合成が可能となり、ケミカルスペースの増大に繋がり、創薬分野への更なる発展に直接的な影響を与える。
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研究実績の概要 |
含窒素環状化合物は、天然物や医薬品などに多く見られる重要な骨格である。近年、光駆動型プロトン共役電子移(PCET)を利用した窒素中心ラジカルの発生、続く環化反応に基づいた、含窒素環状化合物の構築法が報告されている。これらの手法は、温和な条件下、窒素中心ラジカルにアクセスできることから、直截的かつ官能基許容性に優れた手法である。しかし、用いる塩基や基質の結合解離エネルギー、触媒の酸化還元電位などのさまざまな要因に支配されていることから、反応制御が困難である。たとえば、PCETと続く環化反応により生じた炭素中心ラジカルを続く結合形成に適用するのは、単純なラジカル捕捉反応に制限されている。 このような背景のもと、研究者は、当該年度、光駆動型PCETに基づくN-ヘテロ環状カルベン(NHC)触媒系を用いた、アルケンのアミドアシル化反応を開発した。可視光照射下、光酸化還元触媒と温和な塩基を用いることで、分子内にアルケンを有するアミド化合物の窒素中心にラジカルが発生する(酸化的PCET過程)。生じた窒素ラジカルは速やかに分子内環化が進行し、炭素中心ラジカルを与える。一方で、カルボン酸から容易に調製できるアシルイミダゾールとNHC触媒から生じるアシルアゾリウム中間体に対する一電子還元によりケチルラジカルが生じる。これら各々の触媒サイクルから生じた2種類のラジカル(炭素中心ラジカルとケチルラジカル)が選択的に反応することで、β-アミノケトン体を与える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、光駆動型プロトン共役電子移動に基づくNHC触媒系を用いた、アルケンのアミドアシル化反応を発見している。 本手法は、反応制御が困難であるPCETプロセスに対して、緻密な反応設計と還元的NHC 触媒反応の反応性に着目することで、ラジカル-ラジカルカップリングへと適用した世界初の例であり、これまで合成が困難であった立体的により複雑な含窒素環状化合物へのアクセスを可能とした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、電荷錯体形成に基づく有機ボレートと反応剤との電子移動を利用した結合形成反応を検討する。また、昨年度、光駆動型プ ロトン共役電子移動に基づくN-ヘテロ環状カルベン触媒系を用いた、アルケンのアミドアシル化反応を見出している。基質一般性の調査や反応機構解明を実施し、論文化を目指す。
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