研究課題/領域番号 |
22KJ1715
|
補助金の研究課題番号 |
21J22977 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大森 真史 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 果実成熟 / ブルーベリー / エピジェネティクス / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
ブルーベリーは房内で不均一に成熟が進むため成熟果実を手摘みする必要があり、生産効率を低下させる要因となっている。先行研究において脱メチル化剤処理により果実成熟が促進すること、成熟が進むにつれてグローバルな脱メチル化が起こることが明らかとなっている。本研究では着色遺伝子近傍に挿入されたトランスポゾンの挙動を観察し果実成熟との関係を考察する。また、効率的な遺伝子機能評価系を確立しDNAメチル化を制御する因子の機能解析を行う。以上の実験から果実成熟におけるDNAメチル化の役割を解明し、収穫作業の効率化につながる果実成熟の人為的制御技術の開発につなげる。
|
研究実績の概要 |
ブルーベリーは房内で不均一に成熟が進むため成熟果実を手摘みする必要があり、生産効率を低下させる要因となっている。果実成熟を人為的に制御できれば、収穫作業の効率化につながる。先行研究によりブルーベリー果実成熟時に発生するグローバルなDNA脱メチル化とそれに伴う成熟促進が確認されているが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究は着色を制御する遺伝子について、プロモーター領域におけるDNAメチル化レベルの変化とそれに伴うトランスポゾンの挙動に着目する。 第一の実験として、ロングリードシーケンスによる上述の着色遺伝子近傍の配列解読を目指した。果実サンプルからのDNA抽出が困難であったため、葉サンプルを追加しさらにDNA抽出およびシーケンスを外注とした。 今後はメチローム・トランスクリプトームデータと合わせて解析を行い、果実成熟とDNAメチル化との関係を考察する。 第二の実験としては証明実験に用いる遺伝子機能評価系の確立を行った。果実という特殊な環境における遺伝子の機能を調査するため、様々な果実における一過性発現系を確立した。 着色に関係する遺伝子を過剰発現させたところ、アントシアニンの蓄積によると考えられる着色が観察された。さらにブルーベリーにおいて花成抑制遺伝子CENTRORADIALISオーソログのノックアウト系統を獲得した。 本系統は早期開花性を示し、迅速な機能解析を可能とする。また、連続開花性も示したことから、上記果実一過性発現実験を年中行うことができる非常に有用な材料を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一の実験として、本年度はロングリードシーケンスによる着色遺伝子近傍の配列解読を試みた. 配列情報が得られ次第PCRにより成熟ステージ別の着色遺伝子近傍のトランスポゾンの挙動を確認する. さらにメチローム・トランスクリプトームデータと合わせて解析を行い、果実成熟とDNAメチル化との関係を考察する。 第二の実験として、証明実験に用いる遺伝子機能解析技術の確立を目指した。果実という特殊な環境における遺伝子の機能を調査するため、様々な果実における一過性発現系を確立した。 着色に関係する遺伝子を過剰発現させたところ、アントシアニンの蓄積によると考えられる着色が観察された。さらにブルーベリーにおいて花成抑制遺伝子CENTRORADIALISオーソログのノックアウト系統を獲得した。 本系統は早期開花性を示し、迅速な機能解析を可能とする。また、連続開花性も示したことから、上記果実一過性発現実験を年中行うことができる非常に有用な材料を得ることができた。 以上より、研究結果は得られているが今後も研究を精力的に行う必要があり、予定通りの進捗状況であるという自己評価とする。
|
今後の研究の推進方策 |
実験材料としているハイブッシュブルーベリーは四倍体であることに加え、ヘテロ接合度が高く、ショートリードによる配列解読が困難な領域が存在する。そこでNanoporeシーケンサーを用いて着色遺伝子の近傍配列の解読を試みる。メチローム・トランスクリプトームデータと合わせて解析を行い、果実成熟とDNAメチル化との関係を考察する。着色遺伝子近傍の配列取得により果実成熟中のトランスポゾンの動態をgenomic PCRにより調査することが可能となる。果実成熟期におけるトランスポゾンの移動が確認できれば、移動前後の配列をクローニングしプロモーターの活性を比較する。昨年度確立した果実における一過性発現系を利用してDNAメチル化に関与する遺伝子の過剰発現実験を行う予定である。一過性発現が成熟の進行にどのような影響を及ぼすかを調査する。前年度作製したブルーベリー花成抑制遺伝子CENTRORADIALISオーソログのノックアウト系統を用いて、DNAメチル化関連遺伝子のノックアウトを行い、DNAメチル化と果実成熟の関係を調査する材料とする。本系統は早期開花性を示すため、果実成熟に関する形質の調査を迅速に行える。
|