研究課題/領域番号 |
22KJ1718
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補助金の研究課題番号 |
21J23052 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
都築 咲保里 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 不斉合成 / スルフイミド / スルフィンアミド / スルフィンアミデートエステル / 有機硫黄化合物 / スルフィミド |
研究開始時の研究の概要 |
スルホンやスルホキシドの窒素類縁体にあたるスルホキシイミンやスルフイミドは、硫黄原子が不斉中心となりうる含窒素有機硫黄化合物である。これらの化合物は、窒素原子上の置換基を変えることで化学的および物理的特性の細かな調整が望める。本反応では、光学活性なスルフィンアミドなどの入手容易な原料を用いることで、これら含窒素硫黄化合物の効率的な不斉合成手法の確立を目指す。 本反応が開発されれば、従来の不斉酸化手法では合成できなかった有機硫黄化合物の不斉合成が可能になり、将来的には新規医農薬品の効率的な探索への展開が期待される。
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研究実績の概要 |
スルフイミドはスルホキシドの窒素類縁体であり、硫黄原子上の2つの炭素置換基が異なる場合、スルフイミドの硫黄原子は不斉中心となる。このような光学活性なスルフイミドは不斉配位子としての利用も見られる有用な化合物であり、また、近年では特異な生物学的特性を持つことから医農薬分野からの注目も集めている。その一方で、スルフイミドの実用的な不斉合成法の欠如から、光学活性なスルフイミドを応用するには至っていない。 一般的にスルフイミドの不斉合成法としては、遷移金属触媒存在下、スルフィドに対して求電子的アミノ化剤を作用させて、立体選択的かつ酸化的に窒素原子を導入する手法が汎用されている。しかしながら、これらの手法ではロジウムなどの高価な金属試薬を用いる必要があることや、アジ化物やオキサジリジンなどの求電子的アミノ化剤の調製または取り扱いが容易ではない、といった点で改善の余地が残されている。加えて、現状では高立体選択的に不斉合成することができないスルフイミドも多く存在し、スルフイミドの一般性の高い新たな不斉合成法の開発が望まれていた。このような背景のもと、私は入手容易な原料として光学活性なスルフィンアミドを用いたスルフイミドの不斉合成法の開発に取り組んだ。 昨年度、光学活性なスルフィンアミドをラセミ化することなくスルフィンイミデートエステルに変換する条件を見出したので、本年度はまず初めに得られたスルフィンイミデートエステルをスルフイミドに変換する条件の検討ならびにその基質適用範囲の調査を行った。その結果、従来法では合成困難な、類似の2つの炭素置換基を有する光学活性なスルフイミドを含む種々のスルフイミドの合成を達成した。また、一部のスルフイミドは加熱によるラセミ化の進行が見られたため、得られたスルフイミドのラセミ化に対する活性化障壁の評価も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度段階で得られたスルフィンイミデートエステルをスルフイミドに変換する条件の検討ならびにその基質適用範囲の調査を行った。その結果、従来法では合成困難な、類似の2つの炭素置換基を有する光学活性なスルフイミドを含む種々のスルフイミドの合成を達成した。また、一部のスルフイミドは加熱によるラセミ化の進行が見られたため、得られたスルフイミドのラセミ化に対する活性化障壁の評価も行った。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で光学活性なスルフィンイミデートエステルやスルフイミドの簡便な合成手法が確立されたため、これらを用いた有用化合物への変換も試みる。 また、これまでに得られた知見を活かし、その他有機硫黄化合物の実用的な合成手法の確立も目指す。
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