研究課題/領域番号 |
22KJ1790
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補助金の研究課題番号 |
22J01706 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小酒井 智也 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ビフィズス菌 / 腸内細菌叢 / 共生 / 乳児 / 遺伝子破壊 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの腸内には数百種類以上にも及ぶ細菌によって構成される腸内細菌叢が形成されている。近年、乳児期に形成される腸内細菌叢は生涯にわたり宿主の健康に影響を及ぼすことが明らかにされており、乳児期において有益な細菌叢を維持することの重要性が高まっている。本研究では、乳児期の腸内細菌叢の構成がどのようなメカニズムで変化するのかを包括的に理解する。さらに、解明したメカニズムを駆使して、乳児の健康に有益な腸内細菌叢を効率的に形成可能な手法を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
前年度は、種々の腸内細菌株(新種を含む)の分離などにより、乳児腸内細菌叢の特徴を見出すことができた。本年度はさらに乳児腸内細菌叢の形成機構の理解に向けて、以下の三つの研究、すなわち1)乳児腸内で優勢なビフィズス菌の遺伝子機能を解析するために必要な遺伝子操作ツールの開発、2)当該遺伝子操作ツールを駆使したビフィズス菌の母乳オリゴ糖代謝遺伝子の機能解析、3)乳児腸内細菌叢の形成・構成に影響する新たな因子の同定を実施した。 1)ビフィズス菌は、乳児腸内細菌叢の主要なメンバーであるため、本菌の遺伝子機能を解析することは、乳児腸内細菌叢の形成機構の理解に繋がる。そこで本年度はまず、ビフィズス菌の遺伝子機能を解析するために必要な遺伝子操作ツールの開発に取り組んだ。結果として、既報のものよりも高い温度感受性を示すプラスミドを構築し、ビフィズス菌の遺伝子欠損株を効率良く作製することが可能となった。 2)1)で構築した温度感受性プラスミドを用いることで、ビフィズス菌の母乳オリゴ糖(母乳に含まれる難消化性オリゴ糖の総称)の代謝に関わると推定される遺伝子の欠損株を作製した。その後、本欠損株の表現型を解析することにより、欠損した遺伝子が母乳オリゴ糖代謝に大きく寄与することを明らかにした。 3)複数人の乳児において糞便中の細菌叢(乳児腸内細菌叢)を解析し、その後、当該細菌叢の構成と様々な因子との関連性を統計学的解析により調査した。その結果、母乳オリゴ糖とは異なる因子も乳児腸内細菌叢の構成に影響を及ぼす可能性が新たに示唆された。 以上のことから、本年度は、乳児腸内細菌叢の形成機構を解明するための基盤を構築すると共に、当該細菌叢の形成機構の詳細な理解に向けて様々な知見を得ることができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、乳児腸内で優勢なビフィズス菌を標的とし、新たな遺伝子操作ツールの開発及び本ツールを活用したビフィズス菌の母乳オリゴ糖代謝に関わる遺伝子の同定に成功した。また、乳児腸内細菌叢に影響を与える可能性のある新たな因子も同定することができた。本成果は、乳児腸内細菌叢の形成機構を理解する上で重要な技術・知見となりうる。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定としては、特に3)の研究について推進する予定である。すなわち、3)で特定した因子が乳児腸内細菌叢形成・構成に及ぼす影響を詳細に解析するとともに、得られた知見が乳児腸内細菌叢の制御に応用可能かを検証する予定である。また、この解析の際に、前年度に分離した腸内細菌株も活用する予定である。
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