研究課題/領域番号 |
22KJ1826
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補助金の研究課題番号 |
22J13060 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
愛須 佑樹 京都大学, 医学研究科, 研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 胃癌 / ピルビン酸 / 解糖系 / 酸化的リン酸化 / 超偏極MRI |
研究開始時の研究の概要 |
ピルビン酸代謝には解糖系とOXPHOS系の2つのメイン経路があり、癌細胞の発達に重要な役割を果たしている。2つの経路間の可塑性に着目し、 解糖系阻害剤(NCI-006)とOXPHOS系阻害剤(IACS10759)を用いて、代謝のスイッチングや腫瘍増殖抑制効果を確認することで新たな胃癌治療 法の開発を目指している。従来、生体内でのピルビン酸代謝を評価するには生検などの侵襲的手法が必要であったが、臨床応用を目指す上で非侵襲的な評価法が必須であると考えられ、本研究ではその方法として超編極13C-MRIの有用性も検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、低分子化合物(NCI-006:LDH阻害剤、IACS-010759:ミトコンドリア複合体1阻害剤)を用いた胃癌に対するピルビン酸代謝阻害治療法の開発である。同時にピルビン酸代謝の相互シフトに着目し、生体内でのピルビン酸代謝の評価手段として超偏極MRIの有効性を検証し、診断から治療までの一連の治療モデルを提唱する。昨年の申請書に記載したとおり、本研究における課題は以下の3点である。 [1] 胃癌においてNCI-006、IACS は代謝阻害作用・腫瘍増殖抑制効果を有するのか [2] マウス胃癌モデルでも同様に代謝阻害作用・腫瘍増殖抑制効果を有するのか [3] 超偏極 13C-MRI がピルビン酸代謝の in vivo での評価法となりうるか [1]について、胃癌細胞株および患者由来胃癌スフェロイドを用いて、extracellular flux analyzerを用いてピルビン酸代謝を評価した。それぞれの株、スフェロイドにおいて代謝特性が異なっており、各阻害剤によるオンターゲット効果が確認され、加えて複数株において反対側への代謝シフトが惹起されることを見出した。また増殖アッセイでは全ての株、スフェロイドにおいて2剤併用により相乗的に細胞増殖が抑制された。 [2]について、MKN45マウスモデルを用いて増殖実験を行った。2剤投与によって腫瘍増殖が有意に抑制された。阻害剤の投与中に体重増加の停止は見られたが投与停止に伴って速やかに体重は増加し、実験を通して致死的な有害事象は認めなかった。副作用を許容しつつ有効性も維持されることが確認された。 [3]について、1-13C標識ピルビン酸を投与して13C-MRIを撮像する。NCI-006、IACSの投与前後で 13C-乳酸 /13C-ピルビン酸のシグナル比を算出することでピルビン酸代謝の変化を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時には2023年度前半において全ての実験を終了する予定としている。 現在、メインの実験として残っているのは超偏極MRI実験のみであり、予定通りに進めば本年度前半中には実験を終了して論文執筆作業へ移行する予定である。 超偏極MRIは共同研究機関である岐阜大学で撮影するが、これまでは新型コロナウイルスによる本学独自の行動制限により施設間移動に制限があった。行動制限も徐々に緩和されつつある状況であり、期限内には可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
超偏極MRIにおいて、各代謝阻害剤において代謝阻害作用、代謝シフトの有無が確認さればこの研究は完成すると考えており、現在のところ研究遂行において大きな障壁はないと考えている。 大腸癌についても同様に治療モデルが構築できるか検討を行っており、余力があればそちらも検証したい。
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