研究課題/領域番号 |
22KJ1836
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補助金の研究課題番号 |
22J13531 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
包 福昇 (2023) 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
包 福升 (2022) 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | モンゴル語教育 / ハーフンガー / 内モンゴル自治区 / ナショナリズム / マイノリティ / 学校教育 / 民弁学校 / 哈豊阿 / 内モンゴル / 民族教育 / モンゴル語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、モンゴル人の立場から 1930~50 年代の一連の歴史経験として捉え直すことによって、モンゴル 自治運動史研究の射程の再設定を促すものである。中華民国から「満洲国」政府を経て中華人民共和国に至 る過程においては、後の時代になるほど「より寛容」な民族政策を打ち出すようになったかのように見える ものの、実際には近代主義的な「先進」―「後進」という認識枠組みがむしろ時代を追って強化された側面 があったことを明確化する。こうした観点は中共の少数民族政策への従来の評価を根底から相対化する試み であり、「ネイションと言語」をめぐる思索の新たな提起である。
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研究実績の概要 |
報告者は、中国における少数民族地域の「自治」の意味を問うことを課題とし、これまでは1950年代の中国の内モンゴル自治区を中心に、その民族語教育の政策や実態を探ってきた。 今年度において、まずは内モンゴルの教育部門の指導者のハーフンガーが1954年に行なった報告の位置づけを論証した論文を公表できた(査読付き)。この論文では、中国内モンゴル自治区を対象に、1940年代末から50年代前半までの学校普及状況および民族語教育にかかわる施策を、農耕地域と遊牧地域との区別を意識して検討した上で、漢語(中国語)優位の構造の中で、モンゴル人指導層における民族語の位置づけを検討したものである。成果として、1950年代前半の中国の少数民族政策の開明性は中共の方針に基づくものであるという理解がこれまで一般的だったが、本稿では実際には中共は漢語優位の体制を補強しようとする傾向が強かったにもかかわらず、自治精神の担い手が「先進/後進」構図を相対化する尽力を通じてモンゴル語教育の空間が切り開かれていったことを明らかにした。 また、内モンゴル地域の民族教育に関する資料調査・情報統合も行なった。2023年度の夏に、モンゴル国・(中国)内モンゴル自治区に行って資料調査を行なった。モンゴル国の外務省中央アーカイブでは、1945年当初の内モンゴル人が内外モンゴル合併を請願した資料を閲覧でき、その中にハーフンガーが書いた手紙も含まれていた。ウランバートル滞在中には、国際モンゴル学会の開催もあり、モンゴルの歴史・政治・言語関連の発表をいくつか聞き、学者たちとの交流をも試みた。 内モンゴル自治区での調査は、あいにく中国の外相がスパイ容疑で交代される出来事を背景に、地方の文書館の強い警戒を受け、予想より限定的な結果となった。その中でも、1950年代当初刊行された教科書を入手でき、次の研究への準備ができつつある。
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