研究課題/領域番号 |
22KJ1838
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補助金の研究課題番号 |
22J13605 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下村 恭太 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 危機言語 / 人称代名詞 / 接語 / 再帰代名詞 / 言語接触 / 文法化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はポーランド南部で話されているドイツ語変種のヴィラモヴィアン語を分析対象とし、強勢のない人称代名詞が接続詞に融合する現象について、その生起条件の特定を目標としている。 当該現象は一部のゲルマン諸語や諸方言で観察されるものの、その生起条件についての記述はなく、また、ヴィラモヴィアン語の先行研究においても同様に見られない。 さらに、言語変化を明らかにする文法化の理論において、当該現象の連続体と推察される従属接続詞が動詞の活用のように屈折する現象と当該現象を比較し、言語変化のプロセスの解明も目指す。
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研究実績の概要 |
前年度には、強勢のない人称代名詞が接続詞に融合する現象について、4つの散文作品を分析し、その結果、人称代名詞の指示対象の有生性と数が融合現象に影響を与えていることが明らかになった。この調査結果は京都ドイツ語学研究会で口頭発表した。 今年度は、2023年3月から9月までドイツのフンボルト大学でドイツ語方言学やドイツ語系少数言語に従事するFleischer教授の指導の下、本研究を進めていた。そのうち約3か月間はヴィラモヴィツェでフィールドワークを行い、質問票を用いた調査や母語話者との会話を録音した。 これまでの研究では音声資料が不足していたため、書記資料をもとに調査を行ってきたが、今回収集した音声データを分析したところ、先行研究における人称代名詞の形態や統語的特徴についての記述が不十分であることが明らかになった。したがって、今後の研究を進めるにあたり、人称代名詞についての記述を修正する必要があることから、融合現象を中心に据えた人称代名詞の包括的な記述を目指すこととした。 人称代名詞に関連する再帰代名詞の使用に関して、ポーランド語の影響という視点から調査したものを12月1日にポーランドで口頭発表した。この内容をもとに論文を執筆し、現在査読中である。また、今年度の課題に挙げていた「2人称単数代名詞接語形と人称代名詞の省略 (pro-drop)との関連性について」では、音声資料を対象とし、専ら人称代名詞の省略現象に着目した分析を行った。その結果をまとめ、論文を執筆し、現在査読中である。 さらに、ヴィラモヴィアン語のコーパス作成に関しては、海外の研究者と共に取り組んでいる。このコーパスの完成・公開に向けてヴィラモヴィッツェの団体などと交渉中である。ただ、コーパスの公開時期については未定であることから、著作権の切れている1907年の作品を英語と日本語に翻訳し、今年の5月末に投稿予定である。
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