研究課題/領域番号 |
22KJ1857
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補助金の研究課題番号 |
22J14495 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 悠汰 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ハイデガー / 九鬼周造 / 三木清 / 間文化哲学 / 技術哲学 / 真理 / 民族 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、西洋中心的な哲学観に対するオルタナティヴとしての「世界哲学」や「間文化哲学」など多様な文化に開かれた哲学が模索されている。この状況において、異なる文化的・歴史的背景をもった共同体間の哲学の「対話」がそもそも成り立つのか、成り立つとすれば如何にして成り立つのかが改めて問い直されねばならない。本研究は、ドイツの哲学者M.ハイデガーの「民族」概念を批判的に再検討することを通じて、近年盛り上がりを見せている「間文化哲学」が主題とする異文化間における哲学の「対話」の基礎づけを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度までの研究成果を博士論文へとまとめ上げることに注力した。「隠れ-なさと有限性――ハイデガーにおける「真性」と「われわれ」の問題」と題した博士論文では、ハイデガーの1927年から1938年ごろまでの思索を真理と共同性という観点から読み解いた。このなかで、本研究課題であったハイデガー哲学における「民族」概念の位置づけについて、ハイデガーの思索の変遷を踏まえつつ明らかにした。ハイデガーの「民族」概念は、特定の民族を指し示すものではなく、われわれの根源的な共同性を含意しており、『存在と時間』以来の自己性を構成するものとしての時間性の議論を引き継いだものである。さらに終章では、本研究課題の最終目標である、ハイデガー哲学の間文化哲学としての可能性について考察した。ハイデガーの哲学は、一見したところ西洋中心主義的な哲学観に基づいているが、むしろ安易なグローバル化を帰結させない仕方での間文化的な対話を構成する可能性を提示するものである。 その他の学会発表等については以下の通りである。 2023年9月には、アイルランドのコークで行われたEuropean Network of Japanese Philosophyに参加し、ハイデガーと九鬼周造の哲学を「偶然性」という観点から比較する発表を行った。この発表の成果も博士論文に部分的に取り入れられている。 また2024年1月に大阪大学で行われたシンポジウムに提題者として招待され、三木清の技術哲学をハイデガー研究の観点から再検討する発表を行った。この発表もまた、本研究課題であるハイデガー哲学を出発点にした間文化哲学の再構築のための一つの試みとして位置づけられる。
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