研究課題
特別研究員奨励費
大脳皮質GABA細胞の約3割を占めるソマトスタチン発現細胞(SOM細胞)は、様々な興奮性や抑制性入力を収束させることで、出力先の興奮性細胞のシナプス入力応答性を制御する。樹状突起や細胞体へ形成されるシナプス入力は、その空間配置に応じて修飾や統合を受け、神経細胞の発火特性に大きく影響を及ぼす。そのため「どのシナプスがどこにどれだけ入力するか」という「シナプス入力様式の特異性」が、神経細胞が行う修飾や統合の様態(計算原理)の理解に必要である。本研究ではマウス第一次体性感覚野の第5層SOM細胞に対する特異的なシナプス入力様式を形態学的に明らかにし、モデル化を通じて入力の修飾や統合の様態を解明する。
大脳皮質GABA細胞の約3割を占めるソマトスタチン発現細胞(SOM細胞)は、様々な興奮性や抑制性入力を収束させることで、出力先の興奮性細胞のシナプス入力応答性を制御する。樹状突起や細胞体へ形成されるシナプス入力は、その空間配置に応じて修飾や統合を受け、神経細胞の発火特性に大きく影響を及ぼす。そのため「どのシナプスがどこにどれだけ入力するか」という「シナプス入力様式の特異性」が、神経細胞が行う修飾や統合の様態(計算原理)の理解に必要である。本研究ではマウス第一次体性感覚野の第5層SOM細胞に対する特異的なシナプス入力様式を明らかにすることを目的に、形態学的な解析を行った。アデノ随伴ウイルスベクターを用いた膜移行GFPによるSOM細胞の標識、スライス標本における蛍光チラミドを用いたシグナル増感法と組織透明化手法を用いた3次元形態再構築、スライス標本から作成した再薄切切片における免疫染色によるシナプス入力部位の推定、という一連の実験系を確立した。3次元形態データに基づいて分類したSOM細胞各サブタイプ毎に、興奮性および抑制性シナプス入力の空間密度分布の解析を行った。SOM細胞に対する皮質細胞と視床細胞に由来する興奮性シナプス入力は細胞体近傍の樹状突起に多く入力している一方、抑制性シナプス入力は樹状突起遠位部に多く入力する傾向を示していた。また樹状突起の局所において興奮性シナプス入力の密度が高くなるホットスポットや、過去に殆ど報告されていない細胞種間のシナプス結合の存在を定量的に見出した。今後、本研究で得られた正常状態における特異的なシナプス入力パターンを心理ストレスモデルなどの疾患モデルとの間での比較を行うことで、これらのシナプス入力様式がもつ機能的、生理学的な意義を探索をさらに進めていく。
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