研究課題/領域番号 |
22KJ1876
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補助金の研究課題番号 |
22J15034 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 順天堂大学 (2023) 京都大学 (2022) |
研究代表者 |
高橋 慧 順天堂大学, 大学院医学研究科脳回路形態学, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ソマトスタチン発現神経細胞 / シナプス / ウイルスベクター / 組織透明化法 |
研究開始時の研究の概要 |
大脳皮質GABA細胞の約3割を占めるソマトスタチン発現細胞(SOM細胞)は、様々な興奮性や抑制性入力を収束させることで、出力先の興奮性細胞のシナプス入力応答性を制御する。樹状突起や細胞体へ形成されるシナプス入力は、その空間配置に応じて修飾や統合を受け、神経細胞の発火特性に大きく影響を及ぼす。そのため「どのシナプスがどこにどれだけ入力するか」という「シナプス入力様式の特異性」が、神経細胞が行う修飾や統合の様態(計算原理)の理解に必要である。本研究ではマウス第一次体性感覚野の第5層SOM細胞に対する特異的なシナプス入力様式を形態学的に明らかにし、モデル化を通じて入力の修飾や統合の様態を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究ではウイルスベクターと遺伝子改変マウス、組織透明化法を組み合わせ、神経細胞の3次元的な形態解析を実施している。報告者らは、蛍光チラミドを用いたシグナル増感法(Yamauchi, [5名省略] Takahashi et al. [5名省略], 2022, Sci. Rep.)を、アデノ随伴ウイルスベクターを用いてGFP標識した神経細胞に対して適用することで、形態解析ステップの正確性の向上と効率化が実現されることを見出した。そこで本年度では応用として、本手法をマウスの前障領域におけるパルブアルブミン発現神経細胞とソマトスタチン発現神経細胞(SOM細胞)に適用し、これらの神経細胞が特徴的な樹状突起や軸索の走行様式を示すことを学術誌に発表した(Takahashi et al. [10名省略], 2022, Neurosci. Res.)。 SOM細胞へのシナプス入力様式の解析は、興奮性細胞由来のシナプス入力に関するデータ収集が完了し、現在分析を進めている。また抑制性神経細胞由来のシナプス入力の解析では、これまでの実験手法では検出が困難であった細胞種からのシナプス入力も定量的に同定しており、新たな結合様式を見出しつつある。これらの形態学的解析に基づくシナプス入力の空間密度分布のデータを踏まえて、これらのシナプス入力様式がもつ機能的、生理学的な意義を検証可能な実験系の構築についても合わせて探索していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソマトスタチン発現神経細胞に対するシナプス入力様式の解析データは、順調に取得が進んでいる。また新しく開発した神経細胞の標識手法を用いることで、今後のシナプス入力様式解析に要する労力と時間を大幅に削減すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、ソマトスタチン発現神経細胞に対するシナプス入力様式の解析について、残るデータの取得を行っていく。得られた形態学的解析に基づくシナプス入力の空間密度分布のデータに基づき、これらのシナプス入力様式がもつ機能的、生理学的な意義を検証可能な実験系の構築を探索していく。
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