• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

茎における癒傷反応はダイズの茎疫病に対する圃場抵抗性を強くするか?

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1888
補助金の研究課題番号 22J15214 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分39020:作物生産科学関連
研究機関京都大学

研究代表者

多田 光史  京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
研究課題ステータス 完了 (2023年度)
配分額 *注記
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードダイズ茎疫病 / Phytophthora sojae / 植物体上の傷 / 癒傷反応 / リグニン / 環境要因 / 無施肥条件
研究開始時の研究の概要

ダイズ生産に甚大な被害をもたらす重要土壌病害であるダイズ茎疫病(茎疫病)の発生において、茎表面の傷が重要な助長要因だと考えられる。新鮮な傷の場合、傷が深いほど茎疫病菌接種による枯死率は高くなるが、傷が生じて一定時間経過した個体は茎疫病に感染しにくくなる。それは癒傷反応により傷が保護されるからだと考えられる。しかし、ダイズの癒傷反応に関する知見は乏しく、茎疫病圃場抵抗性はおろか茎疫病発生との関わりも明らかにされていない。
本研究は、茎疫病発生を低減させうるダイズの癒傷反応に着目し、その原因物質を明らかにするとともに、またその原因物質が迅速に蓄積される環境要因を明らかにすることを目指す。

研究実績の概要

傷口へのリグニン蓄積が茎疫病による枯死率を低減することを検証するために、リグニン生合成阻害剤を用いた検証を行った。ダイズ品種エンレイの幼苗の胚軸に貫通傷を与え、傷口にリグニン生合成阻害剤であるα-アミノオキシβ-フェニルプロピオン酸(AOPP)、または対照区としてエタノール(EtOH)を処理した。傷処理30~48時間後まで6時間ごとの傷部分のリグニン蓄積、およびその時の茎疫病による枯死率を別の実験から調査した。AOPPを処理した方はEtOHを処理した場合に比べて、リグニン蓄積が遅れ、枯死率が低下しなかった。このことから、癒傷過程にみられる、茎疫病による枯死率の低減にリグニン蓄積が寄与していることが強く示唆された。
また、迅速なリグニン蓄積をもたらす環境要因を明らかにするため、異なる施肥条件(N:P2O5:K2O = 0:0:0 (0N)、 3:0:0 (1N)、 6:0:0 (2N)、 3:10:10、 6:10:10、 6:20:20 g m-2)と大気相対湿度(平均99%の高湿区と平均77%の低湿区)のもとでの、傷口へのリグニン蓄積を調査した。傷処理後12~48時間において、傷口へのリグニン蓄積は時間の経過とともに上昇した。24~36時間において高湿区のリグニン蓄積が有意に高くなり、その高湿区において、24~32時間の平均値を施肥条件ごとに算出すると、0Nで最も値が高く、1N、2Nと窒素施肥量が多くなるに従い低くなった。以上より、リグニン蓄積が高湿条件および無施肥条件で促進されることが示唆された。
本研究により、ダイズ茎疫病発生を低減させうるダイズの癒傷反応の原因物質がリグニンであることを強く示唆し、高湿および無施肥条件で迅速に蓄積されることを明らかにした。しかし、これらを栽培技術に応用するには、他の環境要因も含めた検討が求められる。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] ダイズ幼植物の茎表面における傷発生に関する調査2023

    • 著者名/発表者名
      正田愛奈・多田光史・白岩立彦
    • 雑誌名

      日本作物学会紀事

      巻: 92 号: 4 ページ: 315-320

    • DOI

      10.1626/jcs.92.315

    • ISSN
      0011-1848, 1349-0990
    • 年月日
      2023-10-05
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ダイズ茎疫病発生に関わるリグニン蓄積とリグニン蓄積に影響を及ぼす環境要因2024

    • 著者名/発表者名
      多田光史・髙橋宏和・田中千尋・田中朋之・白岩立彦
    • 学会等名
      第257回 日本作物学会講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 無施肥条件がダイズ茎疫病発生を低減する可能性2024

    • 著者名/発表者名
      多田光史・白岩立彦
    • 学会等名
      NPO無施肥無農薬栽培調査研究会 2023年度研究報告会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Lignin may decrease Phytophthora root and stem rot occurrence on soybean seedlings as a physical barrier?2023

    • 著者名/発表者名
      T. Tada, H. Takahashi, C. Tanaka, T. Katsube-Tanaka, T. Shiraiwa
    • 学会等名
      The 11th World Soybean Research Conference
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書 2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 生育初期のダイズ茎疫病発生に関わる癒傷過程の蓄積物質2023

    • 著者名/発表者名
      多田光史・髙橋宏和・田中千尋・田中朋之・白岩立彦
    • 学会等名
      第255回作物学会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ダイズ茎疫病発生と癒傷反応との関連2023

    • 著者名/発表者名
      多田光史・白岩立彦
    • 学会等名
      NPO無施肥無農薬栽培調査研究会 2022年度研究報告会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 生育初期のダイズ茎疫病発生に及ぼす傷の影響―傷処理の深さおよび処理後経過時間が発病に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      多田光史・田中千尋・田中朋之・白岩立彦
    • 学会等名
      第254回作物学会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 圃場におけるダイズ茎疫病発生機構―植物体上の傷発生要因2022

    • 著者名/発表者名
      正田愛奈・多田光史・白岩立彦
    • 学会等名
      第254回作物学会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi