研究課題
特別研究員奨励費
脱炭素社会の達成のための排出削減技術として、二酸化炭素の直接回収技術や合成燃料をはじめとした水素利用関連技術は重要な役割を果たすことが期待されている。本研究は、こうした新しい排出削減技術を考慮した統合評価モデルを開発し、長期的な脱炭素社会への道筋を示す。これにより、新たな排出削減技術は従来考えられてきた脱炭素社会達成の困難性をどの程度緩和するのか、その時費用やエネルギーシステムの将来像等を評価する。
脱炭素社会の実現のため、炭素直接回収、炭素利用や水素利用といった、新しい二酸化炭素排出削減技術が注目を集めている。しかし、従来の排出削減シナリオ研究の多くは、これらの新しい技術を考慮していない。本研究課題は、現在商業利用されていない排出削減技術を包括的に考慮できる応用一般均衡モデルをベースとした統合評価モデルを新しく開発し、長期的な脱炭素社会への道筋を示す。これにより、従来の研究で想定していた排出削減策のみを考慮した場合に見られた困難性がどの程度解消するのか、また新たに浮上しうる問題は何かといったことを明らかにすることを目的としている。本研究課題では、応用一般均衡モデルをベースとした統合評価モデルにおいて、複雑な炭素および水素のフローを表現することで新しい二酸化炭素排出削減技術を表現する。令和5年度においては、大気直接回収技術を利用した二酸化炭素回収および貯留を考慮した応用一般均衡モデルにおいて、脱炭素社会の達成において重要な役割を果たすことが期待される合成燃料の生産と消費のモデル化し、合成燃料の利用がエネルギーシステムや経済に与える影響を分析した。また、脱炭素社会を達成する際のエネルギーや経済への影響をより詳細に分析するため、エネルギーシステムモデルと応用一般均衡モデルを統合する手法の開発も行った。これらの研究成果をもとに国内および国際学会においてポスター発表を行った。また、これらの研究成果をまとめた論文の国際誌への登載が決定した。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 6件)
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