研究課題/領域番号 |
22KJ1916
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補助金の研究課題番号 |
22J15887 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山口 一樹 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | Ferroptosis / 脂肪酸 / 長鎖脂肪酸 / 脂肪酸受容体 / 大腸がん / がん / 乳がん |
研究開始時の研究の概要 |
これまでにも、マウスにおいて食由来脂肪酸が大腸がん進行の抑制に有効であることが報告されてきた。しかし、その抑制メカニズムについて分子レベル・遺伝子レベルでは明らかになっていない。 本研究では、食由来脂肪酸により調節される脂肪酸受容体機構に着目し、マウスで確立されている大腸がんモデルに各種脂肪酸受容体遺伝子の単欠損マウスおよび複数欠損マウスを導入することで、食 - 脂肪酸 - 脂肪酸受容体を介した、大腸がん発症・転移を抑制する分子メカニズムを明らかにし、大腸がん治療に対する新たな可能性につながる成果の発信を目指す。
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研究実績の概要 |
野生型マウスを用いた長期高脂肪食負荷検体群および通常食検体群における糞便中および血中の中・長鎖脂肪酸をLC-MS/MSを用いた質量分析法によって評価した。結果、長期高脂肪食負荷によりリノール酸 (PA) ・オレイン酸 (OA) ・アラキドン酸 (AA) の生体内濃度が減少する傾向、パルミチン酸 (PA) ・γ-リノレン酸 (γ-LA) の生体内濃度は変化がない傾向、ステアリン酸 (SA) の生体内濃度が増加する傾向の結果が得られた。 次に、ヒト大腸がん由来DLD-1細胞あるいはHCT-116細胞を用いて、長鎖脂肪酸の刺激による細胞生存性の制御への検討を行った。 結果、鉄依存性の細胞死であるFerroptosisの誘導に、上記の脂肪酸が影響することが明らかとなった。多くのがん細胞は、アミノ酸の一種であるシスチンの枯渇によりFerroptosisが誘導されることが知られている。その一方で、DLD-1細胞あるいはHCT-116細胞はシスチン枯渇でもFerroptosisが生じないことを見出した。しかしながら、シスチン枯渇条件下で、飽和脂肪酸であるPA、及び多価不飽和脂肪酸であるLA・AA・γ-LAはFerroptosisを誘導、飽和脂肪酸であるSAの刺激ではFerroptosisは誘導されず、一価不飽和脂肪酸であるOAはPAやLAで誘導されたFerroptosisを抑制することが明らかとなった。 さらにこの結果について、DLD-1細胞およびHCT-116細胞は、上記の長鎖脂肪酸をリガンドとするGPR40およびGPR120の発現量が少ないことを確認した。そのため、大腸がん細胞の生存性制御においては脂肪酸受容体に関与なく、上記の脂肪酸が寄与している可能性が示唆された。
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