研究課題/領域番号 |
22KJ1931
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補助金の研究課題番号 |
22J20116 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 大和 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2024年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 繊毛病 / 一次繊毛 / 繊毛内タンパク質輸送 / タンパク質間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
繊毛病は一次繊毛の機能不全により発症する遺伝性疾患であり、代表的な症状として骨格の形成不全を呈する。これは間葉系幹細胞に存在する一次繊毛が正常に機能せず、骨芽細胞への分化に重要なシグナル伝達が阻害されることが原因であると考えられている。しかし、「骨芽細胞への分化」と「繊毛病の発症」の関連について細胞レベルで解析した研究は未だない。本研究では繊毛内タンパク質輸送装置を構成するIFT52の変異が①繊毛内タンパク質輸送装置の構築に与える影響、②細胞の表現型に与える影響、③間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化に与える影響について解析し、骨格形成不全を伴う繊毛病発症の分子基盤の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、繊毛内タンパク質輸送装置(IFT装置)のサブユニットであるIFT52の変異に起因する繊毛病の分子基盤解明を目指して研究を行った。具体的には、頭蓋外胚葉異形成症(CED)と短肋骨多指症候群(SRPS)を引き起こすIFT52の変異が、IFT装置の構築と細胞レベルの表現型に与える影響を解析した。 タンパク質間相互作用解析の結果、CEDやSRPSを引き起こすIFT52の変異によって、繊毛内タンパク質の順行輸送を担うIFT-B複合体のIFT-B1bサブ複合体とIFT-B2サブ複合体の相互作用が減弱することを見出した。さらに、これらの変異によって繊毛内順行輸送を担うモータータンパク質であるキネシン2とIFT-B複合体の相互作用も減弱することを明らかにした。 次に、繊毛病の原因となるIFT52の変異が細胞レベルの表現型に与える影響を調べるため、IFT52をノックアウト(KO)したhTERT-RPE1細胞を樹立した。このIFT52-KO細胞にCEDやSRPSの原因となるIFT52変異体を発現させたレスキュー細胞を作製し、蛍光抗体法によって細胞の表現型を観察した。その結果、繊毛病の原因変異体を発現させたレスキュー細胞では、一次繊毛に局在するIFT-B複合体が減少し、繊毛先端へのタンパク質輸送が抑制されることを発見した。さらに、IFT52変異体を発現させたレスキュー細胞では、野生型のIFT52を発現させた細胞に比べて一次繊毛の形成率も低下する傾向があった。 以上の結果から、IFT52の変異による繊毛先端へのタンパク質輸送の抑制と、それに伴う一次繊毛の形成不全が繊毛病発症の一因であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はIFT52の変異がタンパク質間相互作用と細胞レベルの表現型に与える影響を解明し、論文として発表することができた。また、間葉系幹細胞株C3H10T1/2を用いてノックアウト細胞を樹立したり、レンチウイルスベクターを用いてレスキュー細胞を作製したりする技術を確立し、繊毛病の原因変異が間葉系幹細胞の分化に与える影響を調べるための技術基盤を整備することができた。以上の理由から、本研究は当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
一次繊毛が司るヘッジホッグシグナル伝達経路は、間葉系幹細胞の分化において重要な役割を果たすことが知られている。今後は、間葉系幹細胞株C3H10T1/2を用いて、骨格系繊毛病の原因変異が骨芽細胞および軟骨細胞への分化に与える影響を解析する予定である。まずはC3H10T1/2細胞を骨芽細胞と軟骨細胞に分化させる実験系を立ち上げるとともに、qPCRによる遺伝子発現解析、ALP染色、Alcian Blue染色などを用いた分化能評価系も確立する。そして、C3H10T1/2細胞でIFT装置のサブユニット遺伝子をノックアウトした細胞に骨格系繊毛病の原因変異体を発現させたレスキュー細胞を作製する。このレスキュー細胞の骨芽細胞および軟骨細胞への分化能を解析することで、IFT装置のサブユニットの変異が間葉系幹細胞の分化にどのような影響を及ぼすか解明する。
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