研究課題/領域番号 |
22KJ1938
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補助金の研究課題番号 |
22J20280 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
太田 健治 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 核酸 / ラジカル |
研究開始時の研究の概要 |
核酸医薬品は、従来の低分子医薬品や抗体医薬品では標的困難な分子を認識することができると同時に高い特異性を有しているため、注目され ている。核酸に含まれるホスホジエステル構造は、核酸分解酵素に対する安定性や薬物動態に影響する。特に、ホスホジエステルの非架橋酸素 原子をアルキル基に置き換えたアルキルホスホン酸ジエステルは電荷が中性となり、負電荷を有する核酸医薬品にはない作用を期待できる。本 研究では、長寿命リン中心ラジカルを利用した炭素-リン結合形成によるアルキルホスホン酸ジエステル合成法を開発し、その手法を基盤とし て核酸誘導体のホスホジエステル部位の化学修飾法に展開する。
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研究実績の概要 |
昨年度見出した、「光駆動型ラジカル-極性交差機構」で発生したカルボカチオン等価体を活用した核酸リン原子の第三級アルキル化反応に関して、基質一般性の拡大や生成物のオリゴヌクレオチドへの誘導化を行った。本手法は、穏和な反応条件であるため高い官能基許容性を示すこと、また入手容易な脂肪族カルボン酸が原料となることから、多様な第三級アルキルホスホン酸ジエステルを構築することが可能であった。具体的には、「同一のデオキシヌクレオシド構造」や「チミジンとシチジンで構成される非対称なデオキシヌクレオシド構造」を有する亜リン酸エステルのリン原子第三級アルキル化が可能であった。核酸塩基としては、ピリミジン塩基だけでなく、プリン塩基も許容された。「ブロモアリール基やシクロブタン構造を有する第三級脂肪族カルボン酸誘導体」や「α-アミノ酸誘導体」の適用も可能であり、多様な第三級アルキルホスホン酸ジエステル構造の構築が可能であった。本手法により得られた第三級アルキルホスホン酸ジエステルを有する核酸誘導体をホスホロアミダイトへと誘導し、固相合成法に用いることで、10個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを合成した。具体的には、末端や内部に第三級アルキルホスホン酸ジエステル構造を導入した5種類のオリゴヌクレオチド合成に成功した。誘導化やオリゴヌクレオチド合成の反応条件において,第三級アルキルホスホン酸ジエステル構造の分解は認められず,この構造の堅牢さが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、「光駆動型ラジカル-極性交差機構」で発生したカルボカチオン等価体を活用した核酸リン原子の第三級アルキル化反応に関して、基質一般性の拡大や生成物のオリゴヌクレオチドへの誘導化を行い、論文を投稿した。また、国際学会にも積極的に参加し、研究成果を発表した。以上のことから本研究は、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで取り組んできた、「光駆動型ラジカル-極性交差機構」で発生したカルボカチオン等価体を活用した核酸リン原子の第三級アルキル化反応では、生成物がジアステレオマー混合物になるという課題があった。そこで今後は、核酸リン原子の立体選択的な第三級アルキル化反応の開発を目指す。
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