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17ー19世紀オランダ東インド会社の長崎・広州商館におけるアフリカ・アジア系奴隷

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1946
補助金の研究課題番号 22J20765 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
研究機関京都大学

研究代表者

柳 一菲  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワードオランダ東インド会社 / 奴隷 / 長崎商館 / 18世紀 / 日本商館文書 / 長崎 / 広州
研究開始時の研究の概要

本研究はオランダ東インド会社の長崎商館と広州商館におけるアフリカ、南アジア、東南アジア出身の奴隷を体系的に考察することを目的とし、以下の課題を取り上げる:①長崎・広州商館に連れてこられた奴隷の出身地・人数などの基本情報の全体的な把握。②長崎・広州商館にいた奴隷と所有者の関係や奴隷の多面的な活動、奴隷と現地社会との関係の解明。③両商館における奴隷の活動内容や存在形態の比較。
長崎・広州商館に連れてこられたアフリカ、南アジア、東南アジア出身の奴隷の実態を体系的に解明する上で、最終的にオランダ人の東アジアにおける奴隷の利用・輸送・交易の特徴を明らかにしたい。

研究実績の概要

今年度はVOCの長崎商館に連れてこられた奴隷を中心に研究し続けた。主にオランダ国立公文書館に所蔵される日本商館文書に記されるオランダ人の奴隷・召使に関する史料を収集・翻刻した。その中で、新しい史料を発掘できた。
まずは1710年代~1800年代に長崎商館職員の間で行われた奴隷売買・譲渡時の公正証書(計49点)、所有奴隷に言及した商館職員の遺言状(計2点)、所有奴隷が登録された商館職員の遺産競売目録(計22点)を発見した。これらの文書では売主と買主それぞれの名前・役職、奴隷の名前・出身地・価格が記されており、当時長崎商館で行われた奴隷の売買・譲渡の実態が明らかになる。また奴隷が長崎で売買・譲渡されたとき、売主が奴隷に対する自分の所有権を証明するため、奴隷を購入したときの証明書を提出することがあり、証明書もたまに公正証書の付録として写された。これらの文書により奴隷の売買歴を分析し、VOCのアジアにおける奴隷売買・輸送のネットワークの一端を明らかにした。
次に1750年代~1790年代に長崎商館に滞在した奴隷の名簿を見つけた。名簿にはその年に商館に滞在した奴隷の名前・出身地・年齢・所有者が記されており、18世紀後半の長崎商館におけるオランダ人の奴隷の基本情報を量的に分析することが可能である。また奴隷名簿からその時期に長崎商館に連れてこられた奴隷の中にペルシア・アラビアやモザンビーク出身の者もいることを確認できた。
そして本年度の史料調査に関しては、オンラインで公開されていないオランダ国立公文書館に所蔵される日本商館文書・カントン商館文書・ドゥーフ文書の一部分を収集するために、2023年12月にハーグに出張し、必要な文書の写真を撮り、史料収集を行った。またオランダに滞在したとき、オランダ人学者が書いたオランダ人の奴隷使役の歴史に関する最新の研究書を購入し、最新の研究成果を把握した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

オランダ語文書の翻刻と解読は予想以上に時間がかがり、研究の進捗が遅くなった。

今後の研究の推進方策

(1)長崎商館に連れてこられたオランダ人の奴隷に関して、現在では上記史料の翻刻作業が終わり、史料の内容を確認・整理する段階に入った。これから18世紀長崎商館における奴隷の基本情報および彼らの売買・譲渡の実態を中心にして論文を執筆し、学会で発表する予定である。またオランダ国立公文書館から収集した史料を整理し、オランダ人の奴隷・召使に関する史料の有無を確認する。
(2)2022年度の史料収集で、第13代オランダ商館長ピーテル・アントニスゾーン・オーフルトワーテルは台湾ラメイ島出身の召使を所有していたことを確認した。この背景をさらに解明するために、1630年代に起こったラメイ島虐殺事件およびオランダ台湾統治時代におけるオランダ人の奴隷使役の具体的な様相を解き明かす。
(3)VOCの広州拠点におけるオランダ人の奴隷の出身地・人数・年齢・死亡状況などを考察する。主にVOCの広州商館文書の目録に目を通し、奴隷に関する記録を収集し、以下の問題を検討する。①奴隷と所有者の関係を考察し、VOCの広州商館における奴隷の性質と地位を検討する。②社会史の視点から広州商館にいた奴隷が現地で行った活動を詳細に解明し、奴隷と現地人・現地文化との接触についても検討し、具体例の分析を通じて、馴染みのない異文化の環境に身を置いた奴隷と現地人との接触の様相を明らかにする。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 一八〇一年朝鮮・日本に漂着したマカオ船について――朝鮮に殘された異國人乘員の身元の再檢討――2023

    • 著者名/発表者名
      柳一菲
    • 雑誌名

      東洋史研究

      巻: 81 ページ: 453-487

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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