研究課題/領域番号 |
22KJ1952
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補助金の研究課題番号 |
22J21091 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山重 貴久 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | バイオセンサ / バルク水 / 微生物検査 / 食品検査 / 食の安全 / 細菌検査 / 誘電センサ / 迅速培養 / 近接センサアレイ / フッ素系不活性溶媒 |
研究開始時の研究の概要 |
食中毒を始めとした微生物による人間への被害を防ぐため、微生物検査が行われている。現在は、寒天培地で微生物を増殖させ目視でそのコロニーを確認する検査法が主流である。しかし、検査時間が長く作業が煩雑という問題を有する。本研究では、当グループが開発したセンサを用いた電気的手法による微生物検出と、微生物増殖を促進することが報告されているフッ素系不活性溶媒を組み合わせ、食の安全保障を向上するための新規微生物検査技術を開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はフッ素系不活性溶媒による微生物の迅速培養と、当研究グループが独自に開発した誘電センサによる微生物増殖の検出技術を組み合わせ、迅速簡便かつ汎用的な微生物検査技術の開発を目指す。これを通して、将来的に食中毒の防止など、微生物を制御する必要がある幅広い領域に貢献することを目的とする。これを達成するため、フッ素系不活性溶媒が微生物増殖を促進する機序の解明と培養系の最適化を実施し、誘電センサによる検出との効果的な組み合わせを探索する。 昨年度は、不活性溶媒が酸素の供給源となっているだけでなく、代謝産物の捕捉剤として機能していることを見出した。本年度はさらに解析を進め、自身が産生するものの、微生物に対して有毒なガス成分の捕捉剤として機能していることを明らかとし、研究論文として発表した。これは、フッ素系不活性溶媒を使用した培養は好気性菌だけでなく、嫌気性菌を含めた幅広い微生物に対して有効であることを示唆する。また、フッ素系不活性溶媒は環境負荷が大きいことが知られており、実用を考える際の障壁であった。我々は、ガスの捕捉剤として機能しうる固体材料に着目し、これを用いても増殖促進を生じることを明らかとした。固体材料は、培養に供した後の菌液との分離、滅菌、培養への再利用が容易となり、実用に際して有効である。 誘電センサとフッ素系不活性溶媒の組み合わせに関しては、不活性溶媒を用いて微量な菌液を封止し、センサで測定する手法を開発した。これにより、センサ単体で菌液を測定した場合と比較して、高感度な測定が実現できた。加えて、不活性溶媒を用いる方法だけでなく、先に見出した固体材料と誘電センサを併用した方法の開発にも着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
フッ素系不活性溶媒を用いて微量な菌液を封止し、センサで測定する手法を開発したことで、当初の予定通り不活性溶媒による迅速培養と誘電センサによる微生物検出技術の効果的な組み合わせを達成できたためである。また、本年度はより実用に有利な固体材料での迅速培養法を見出し、計画以上の進展があったと言えるためである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、実際の食品検査を想定した実験を行う予定である。ここでは、当初想定していたフッ素系不活性溶媒だけでなく、本年度見出した固体材料も使用し、より実用に適した測定系とする予定である。また、センサのイメージング機能を利用した菌種の推定や、解析の自動化などにも挑戦する。加えて、最終年度である次年度は、環境計測や医療分野などへの応用も探索する。
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