研究課題/領域番号 |
22KJ1963
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補助金の研究課題番号 |
22J21677 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河原崎 諒 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 超伝導ダイオード効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は超伝導ダイオード効果の機構解明を目的とする。超伝導ダイオード効果とは、電流を流す方向で超伝導体に流せる電流の限界値である臨界電流が異なっており、順方向の臨界電流と逆方向の臨界電流の間の電流値では、順方向では超伝導状態でゼロ抵抗であるが逆方向では常伝導状態で抵抗が有限となるため、超伝導体が整流作用を示す現象のことである。現代の生活を支える電子機器の数多くに利用されている半導体ダイオードを、電気抵抗がゼロになる超伝導体で代用することが可能になれば、エネルギー損失のない回路が実現可能であり、本研究はその実現を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究目的は、申請者らのグループが発見したNb/V/Ta人工格子が示す超伝導ダイオード効果の機構解明である。申請者は、超伝導ダイオード効果は薄膜積層方向の空間反転対称性の破れに起因する効果であると考えているが、超伝導人工格子に侵入するボルテックスの運動に起因する可能性も指摘されている。令和4年度は、Nb/V/Ta人工格子の超伝導ダイオード効果の極性が磁場を増大させることで反転することを実証した。(Ryo Kawarazaki et al., Magnetic-field-induced polarity oscillation of superconducting diode effect, Appl. Phys. Express 15, 113001)この結果は、超伝導状態の性質もしくは超伝導ダイオード効果の機構のいずれかが低磁場側と高磁場側で変化していることを意味する。超伝導状態の変化として、ヘリカル超伝導状態間の クロスオーバーが提唱されており、それに基づいた理論計算と定性的に整合していることが判明した。その一方で、低磁場と高磁場では超伝導ダイオードの機構が異なり、特に高磁場側では超伝導人工格子に侵入するボルテックスに起因している可能性を示唆する結果も得られた。本研究成果から超伝導ダイオード効果の機構解明には低磁場側と高磁場側でそれぞれ個別に検討する必要性があることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Nb/V/Ta人工格子の超伝導ダイオード効果の機構を解明するためには、積層順序を反転させたTa/V/Nb人工格子を作成して比較検討するのが望ましい。昨年度はTa/V/Nb人工格子の成膜条件を調べるのに時間を要した。当初の予定では昨年度に成膜する見込みであったため、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Ta/V/Nb人工格子の作製条件が判明したので、Ta/V/Nb人工格子の超伝導ダイオード効果を本年度は詳しく調べる予定である。その結果をNb/V/Ta人工格子の結果と比較することで、超伝導ダイオード効果の機構解明を目指す。
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