研究課題/領域番号 |
22KJ1989
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補助金の研究課題番号 |
22J22766 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川平 将志 (2023) 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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特別研究員 |
川平 将志 (2022) 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ラージNゲージ理論 / Batalin-Vilkovisky量子化 / 前因子化代数 / 一般化対称性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,数理物理的手法を用いて「標準模型を超える物理」に制限を与えることを目的とする. 「標準模型」とは,素粒子の性質をほぼ完全に記述するとされている理論である.しかし,標準模型には暗黒物質や重力を含まない等の課題も残されている.そこで様々な「標準模型を超える物理」が提案されている. 本研究は,対称性の概念やアノマリーと呼ばれるトポロジーに関連した量を用いて,「標準模型を超える物理」を始めとする現象論的模型に知見を与えることを目的とする.
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研究実績の概要 |
以下の2つの研究を行った. 1つ目は,カラーグラス凝縮に関するものである.カラーグラス凝縮とは加速器実験においてみられる現象であり,ハドロン相からクォーク・グルーオンプラズマ相への変化の途中過程で起きるとされる.本研究では,これをラージNゲージ理論により記述することを試みた.ラージN極限をとった理論の特徴として,有限体積系でも相転移が生じることが挙げられる.これは有限Nの場合を大きく異なる性質で,ラージN極限が熱力学極限の役割を果たすことに起因する.本研究ではこの性質に着目し,カラーグラス凝縮の様子を記述できるのではないかと考え,解析を行った. 2つ目は,Batalin-Vilkovisky量子化による非摂動効果の記述である.この研究の背景には,Batalin-Vilkovisky量子化をもとにして,前因子化代数を構成可能だと数学的に証明されていることがある.前因子化代数とは場の量子論の数学的定式化の1つで,数学的にはチェイン複体の圏に値をもつ余層である.余層の場合,制限写像の双対が定義されているため,演算子の台が拡大していく様子が記述可能である.この台の拡大を用いることで,演算子積展開を数学的に定式化することが可能である.この定式化の大きな特徴は,共形場理論でなくても演算子積展開が定義されている点にある.そのため,この定式化は様々なクラスの場の量子論の物理量を数学的に計算することが可能である.ただし,通常の定式化では,前因子化代数は摂動的に構成されるため,本研究では非摂動効果をどのように取り込めばよいか考察した.特にインスタントン効果のあるような系でのBatalin-Vilkovisky量子化の手法を主に研究した. 以上はいずれも,数理物理的手法に基づいて現象論へ知見を与えることを目的としている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カラーグラス凝縮に関しては,現在までの計算結果が現象と一致していないため,さらなる解析が必要としているから.
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今後の研究の推進方策 |
カラーグラス凝縮に関しては,ゲージ・重力対応なども視野に入れて多角的に解析を行っていく. また,Batalin-Vilkovisky量子化による非摂動効果の記述については,これまでの成果を論文にまとめ発表する予定である.
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