研究課題
特別研究員奨励費
家族性地中海熱(FMF)やPyrin-associated autoinflammation with neutrophilic dermatosis(PAAND)は、いずれもMEFV遺伝子の変異によるPyrinインフラマソームの過剰活性化を基本病態とする自己炎症性疾患である。しかし両疾患における症状や薬剤への反応性は大きく異なり、各バリアントがPyrinを活性化させる分子機構についても未だ明らかになっていない。本研究ではMEFV変異を導入したヒト単球細胞株(THP-1)と患者由来iPS細胞から分化させた血球系細胞を利用してPyrinインフラマソーム形成までの分子機構の解明を目指す。
自己炎症性疾患は1999年に提唱された概念で、自然免疫系による過剰な炎症を基本病態とする疾患群であり、自己炎症性疾患の中で最も患者数の多い疾患が家族性地中海熱(Familial Mediterranean Fever: FMF)である。FMFと同様にMEFV遺伝子変異が関与する疾患としてPyrin-Associated Autoinflammation with Neutrophilic Dermatosis(PAAND)があり、exon2領域のS242R変異により発症することが確認されている。これまでに我々は、FMF患者単球由来のマクロファージや患者由来iPS細胞から分化させたマクロファージ(iPS-MP)におけるMEFVバリアントの評価法を確立している。今回この評価系を用いてS242R変異を含むMEFVバリアントを持つ患者由来の単球系細胞やiPS-MPにおけるサイトカイン産生について評価した。
2: おおむね順調に進展している
自己免疫性肝炎を合併したFMF患者における病原性不明のMEFVバリアントについて、患者由来単球系細胞を用いたin vitroでの評価を行い論文報告した。また、PAAND患者由来iPS-MPでも同評価系を用いた検討を行ったが、FMF患者と同程度のIL-1β産生はみられなかった。
引き続き単球以外の血球系細胞についても刺激に対するサイトカイン産生を評価し病態解析を進める。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Front Immunol.
巻: 13 ページ: 917398-917398
10.3389/fimmu.2022.917398