研究課題/領域番号 |
22KJ1995
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補助金の研究課題番号 |
22J22993 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
多賀 光太郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | フォノン角運動量 / フォノン / マグノン / マグノン・フォノン結合 / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、物質中の格子の回転によって生まれるフォノン角運動量を光学測定によって実証し、フォノンと光の間の角運動量遷移を定量的に明らかにすることを目的とする。近年、表面弾性波(SAW: Surface Acoustic Wave)を用いて、フォノンの角運動量を電子スピンへと遷移できることが報告されており、従来考えられてきた電子と光の角運動量に加えて、フォノンの角運動量の遷移を理解することが重要な課題の一つとなっている。そこで、フォノンからマグノンや光の偏光へと角運動量が遷移する過程を探索し、光学測定の持つ局所性と定量性を活かしてフォノン角運動量のイメージングを行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、物質中の格子の回転によって生まれるフォノン角運動量を実証することである。そのため、フォノンからマグノンへ、もしくはフォノンから光への角運動量遷移を観測するための実験に取り組んでいる。2023年度は、マグノン・フォノン結合の定量評価によるスピン渦度結合の実証、フォノン角運動量の光学測定に向けた試料面直方向の格子回転の生成の二つの課題に取り組んだ。 一つ目のマグノン・フォノン結合の評価では、電気的に表面弾性波を励起し、磁場を印可したNiFe薄膜に入射し、その透過信号を測定することでフォノンからマグノンへのエネルギー遷移を観測した。マグノン・フォノン間の結合には、磁気弾性結合、磁気回転結合、スピン渦度結合といった複数の結合が報告されているが、特に磁気弾性結合が小さいと考えられるNiFe薄膜において、周波数依存性に着目した解析を行うことで定量的にそれぞれの結合の寄与の比を求めた。さらに、手法の妥当性を検証するため、NiやCoFeBといった異なる磁性体の薄膜を同様の表面弾性波デバイス上に作製し、結合の寄与を比較するための測定を行った。 二つ目の光学測定に向けた格子回転の生成実験では、表面弾性波の重ね合わせを利用して、試料面直方向に回転軸を持つ格子回転が生成されていると考えられる表面弾性波デバイスを作製し、試料表面の傾きの分布を光学イメージングした。設計から予想される空間的に格子状に分布した格子変位が実現できていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NiFe薄膜におけるマグノン・フォノン結合の複数の寄与についての定量的な評価手法を提案し、検証を進めているため。また、フォノン角運動量の光学測定に適していると考えられる表面弾性波デバイスも新たに設計・作製し、実験を開始しているため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、マグノン・フォノン結合の定量的評価手法の検証を行い、手法を確立する。また、フォノン角運動量の光による直接観測に取り組む。
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