研究課題/領域番号 |
22KJ2007
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補助金の研究課題番号 |
22J23389 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増田 和俊 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 雌雄異株 / 性決定 / 島嶼 / ゲノム / RNA-seq / ムラサキシキブ属 / シソ科 / 植物 / Pool-seq / 性決定遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
世界各地の海洋島ではアイランド・シンドロームと呼ばれる普遍的な生物進化現象が見られる.その進化過程を研究することは生物多様性の形成過程を明らかにする上で重要である.植物の雌雄異株化はその進化現象の1つであり,集団の遺伝的多様性を維持するために起きたと考えられているが,その検証や遺伝的背景に関する研究は行われていない.そこで,本研究では小笠原諸島で雌雄異株化したと考えられるムラサキシキブ属オオバシマムラサキを対象に全ゲノム解析を行うことで,海洋島における植物の雌雄異株化のゲノム基盤の解明及び雌雄異株化が遺伝的多様性に与えるフィードバック効果の検証を行い,その進化的背景を明らかにすることを目指す.
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研究実績の概要 |
世界各地の海洋島ではアイランド・シンドロームと呼ばれる普遍的な生物進化現象が見られる。その進化過程を研究することは生物多様性の形成過程を明らかにする上で重要である。植物の雌雄異株化はその進化現象の1つであり、集団の遺伝的多様性を維持するために起きたと考えられているが、その検証や遺伝的背景に関する研究は行われていない。そこで、本研究では小笠原諸島で雌雄異株化したと考えられるムラサキシキブ属オオバシマムラサキを対象に全ゲノム解析を行うことで、海洋島における植物の雌雄異株化のゲノム基盤の解明及び雌雄異株化が遺伝的多様性に与えるフィードバック効果の検証を行い、その進化的背景を明らかにすることを目指す。 令和5年度はゲノム解析および比較発現解析から本種の性決定に関与している可能性のある遺伝子の絞り込みを試みた。開花ステージ別比較発現解析では、前年度に特定した本種の性決定領域に含まれる花粉発芽口形成に関与する遺伝子の発現量が雌個体で有意に減少していたことから、この遺伝子が雄性不稔に関与している可能性が示唆された。一方で花芽全体での遺伝子発現パターンは雌雄で類似していたことから、本種の雄特異的にみられる表現型変異は特定の組織でのみ起こる遺伝子発現パターンの変化が要因である可能性が考えられた。そこで次に花器官別にRNA-seqを行ったところ、めしべでは雌雄で発現パターンが大きく異なり、雄でのみ有意に発現量が高い遺伝子が多く見つかった。その中には雄だけが持つY染色体に特異的な遺伝子がいくつか含まれていたため、これらの遺伝子が本種の性決定に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、全ゲノム解析及び比較発現解析から本種の性決定に関与している可能性がある有力な遺伝子を絞り込むことが出来たため、おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は前年度までに構築した全ゲノム参照配列およびゲノムリシーケンスデータを使用して、本種の雌雄異株化が遺伝的多様性に与えたフィードバック効果の検証を行う。
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