研究課題/領域番号 |
22KJ2047
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補助金の研究課題番号 |
21J00875 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川口 博子 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 国際刑事裁判所 / 地域紛争 / アフリカ / 賠償 / 刑事司法 / 葬儀 / 追悼 / 婚姻 / 平和 / ウガンダ北部 / 被害者 / 紛争経験 |
研究開始時の研究の概要 |
紛争後社会は、平和をめぐってローカルからグローバルにいたるまで多様な思想や実践が併存する結節点であると同時に、人びとが葛藤を表出しつつ共生する日常空間でもある。国際刑事裁判所(ICC)による被害地域での活動に対する人びとの応答に着目すると、人びとは紛争経験にもとづいて法に基づく正義を相対的にとらえ、同時に刑事裁判のプロセスもまた人びとに自身の紛争経験や自他の関係を再構成する契機を提供する。本研究は、人びとの日常生活と平和構築の活動を有機的に結びつけてとらえ直すことで、紛争後社会において平和が生成されていく動態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年8月および2024年3月に、ウガンダ共和国におけるフィールドワークにおいて、同国内において国際刑事裁判所が実施しているアウトリーチ活動に対する「被害者」としての地域住民の応答のあり方に関する調査をおこなった。2015年以降つづいた刑事裁判が結審し、被害者への賠償の内容が議論されてきたが、2024年2月、賠償の内容が公開された。2024年3月の調査では、規定された賠償額が被害者にいかにして受け入れられ、どのように(だれに)分配されるべきであると人びとが考えているのかに関する聞き取り調査をおこなった。ここでは、地域住民が紛争の記憶を再編成しながら、賠償を受け取るべき「被害者」とはだなのかという問いにもとづいて、被害の(想像の)共同体を構築していく姿を垣間見ることができ、大変に重要な一次データを収集することができた。 また、研究成果においては、書籍の分担執筆を担当し、ウガンダ北部紛争の歴史をひもとき「加害者」が以下にして地域社会に帰還し、日常生活を営んできたのか、そこにおける非公式な和解のあり方について検討した。また。国際学会において3度の口頭発表をおこない、国際刑事裁判所(グローバル)な「加害者」と「被害者」のカテゴリー化について、Trans-generation Harmの視点から検討をおこなった。 このような成果は、就職にも大いに役立ち2024年4月1日より、早稲田大学における国際共同研究加速基金「普遍的価値と集合的記憶を踏まえた国際和解学の探究」の運営に従事し、次席研究員としておもに海外の大学との交流やワークショップの開催業務をおこないつつ、研究を続けていくこととなった。今後は、特別研究員としておこなった3年間の研究の成果を、こうした学際的・国際的な研究に結びつけながら、研究の射程を拡大していく所存である。
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