研究課題/領域番号 |
22KJ2052
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補助金の研究課題番号 |
21J20161 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上松 悠人 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 熱電材料 / 熱電デバイス / 二次元電子ガス / 二次元 / 層状物質 / 熱電変換 / 電気二重層 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、IoT社会において必須とされるセンサ用自立電源の確保のために、世界的に排出量が問題となっている低温廃熱や身の周りの熱を活用して発電可能な高性能薄膜熱電材料の開発を行う。 高性能熱電材料開発の戦略としては擬二次元系の利用に注目しており、まずはGaAs系二次元電子ガスを用いて実験・理論の両面から擬二次元系での熱電性能向上メカニズムを明らかにする。 さらにそこで得られた知見を基に、構造制御した層状物質GeHの擬二次元的な電子・フォノン伝導を利用した新規高性能熱電材料を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、擬二次元的な電子・フォノンの輸送特性を利用した高性能熱電薄膜の開発を目的としている。 2023年度は、まずGaAs系二次元電子ガス(2DEG)における熱電出力因子の増大に向けて、量子井戸内の離散的な電子の準位(サブバンド)に注目した。量子井戸のポテンシャル形状に応じて、量子井戸内のサブバンド数が変化することに着目し、多数のサブバンドの電子の伝導が期待できる三角井戸型ポテンシャル中の2DEGを形成することで、単一のサブバンドを有する矩形井戸型ポテンシャル中の2DEGよりも高い熱電出力因子が得られるという複数サブバンド効果を実証した。この新概念によって、本研究の複数サブバンドを有するGaAs 2DEGでは、従来の量子閉じ込め効果の理論を4倍上回る熱電出力因子が得られている。これは、今まで注目されていた電子閉じ込め幅を狭くする手法以外の観点から、熱電出力因子増大をもたらす方法論を提案する新たな成果といえる。 さらに、上記の複数サブバンド効果が応用に向けて有効であることを示すために、複数サブバンド効果の発現が期待できる薄膜熱電デバイスを作製した。ここでは、三角井戸型ポテンシャルを積層化した薄膜を形成し、エッチングと配線を施すことでプレーナー型薄膜熱電デバイスを作製した。本デバイスは、積層化によるフォノン輸送の抑制に起因した低熱伝導率を示すとともに、同等の構造を有するプレーナー型薄膜熱電デバイスの中で最も高いデバイス性能因子を示しており、中空構造化などの微細加工を施すことで、さらに高い出力電力を示す薄膜熱電デバイスを実現できる可能性を示した。本成果は、複数サブバンド効果という新学理とその応用の架け橋となる成果であり、これを起点として2DEGを利用した薄膜熱電デバイスの開発が促進されることが期待できる。
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