研究課題/領域番号 |
22KJ2070
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補助金の研究課題番号 |
21J20906 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姉川 尊徳 (2021, 2023) 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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特別研究員 |
姉川 尊徳 (2022) 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 量子重力理論 / ブラックホール / ホログラフィック原理 / 量子もつれ / Entanglement / 量子もつれ / Entanglement |
研究開始時の研究の概要 |
Black Holeに対する新しい手法が提案されたことで重力理論における経路積分は我々の想像以上に意味を持つのではないかと示唆される. この経路積分をより理解するために,様々な重力解をHolography(重力理論と場の理論の双対性)の文脈も含めて調べ,それらが量子重力理論においてどのような役割を果たすのか,またHolographyからどのような制限を場の理論に与えるのか,また逆にどのような制限を場の理論から受けるのかについて研究する.
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研究実績の概要 |
本年度の研究実績の要点をそれぞれ説明する。 (1) 低次元ドジッター時空へのホログラフィック原理が新しく提案された。これを背景とし、低次元の場合のドジッター時空での量子複雑性の重力双対について詳しく調べ、結果としてあるタイプの幾何学的な量に関しては、その対応が機能しないことを明らかにした。さらに、高次元の場合において、ドジッター時空の幾何学的量が示す摂動に対する奇妙な応答から、対応する場の理論の物理量の振る舞いに制限を与えることに成功した。 (2) SYK模型は、重力理論が持つべき種々の性質を再現できる量子力学として注目されている。その再現にはSYK模型のもつランダム性が重要であると考えられているが、ランダム性を変化させることにより重力理論の持つ性質がどのレベルまで再現されるかを、数値計算により調べた。さらに、理論的にも、コード図と呼ばれる手法を用いて、ランダム性を減少させたSYK模型の振る舞いを解析した。 (3)Spectral Form Factorは、場の理論側のスペクトラムの微細な構造に起因するその典型的な振る舞いが、重力理論側においては非摂動的な量に対応していることが知られている量であり、具体的に量子重力理論の文脈での研究が行われている。我々は、これらの量をn点に拡張し、具体的にその振る舞いを調べた。
本研究は、量子重力理論の非摂動効果のさらなる理解と、ホログラフィック原理における場の理論への制限が主な目的であった。研究期間全体を通じ、これらへの理解が深まったと考える。特にドジッター時空のホログラフィック原理において、具体的な場の理論への制限を得ることができた。ドジッター時空におけるこの対応は、現状よく知られたAdS/CFT対応を超え、我々の宇宙のモデルに対する量子重力理論を定義できうるという意味で、これからも注目していきたい。
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