研究課題/領域番号 |
22KJ2083
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補助金の研究課題番号 |
21J21467 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹村 美穂 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | がん疼痛 / 難治性疼痛 / 疼痛緩和 / がん患者 / 個別化医療 / バイオマーカー / オピオイド / 遺伝子多型 / 神経障害性疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
オピオイドはがん疼痛治療に広く用いられるが、効果発現の個人差が臨床現場で大きな問題となっている。また、神経障害性疼痛下ではμオピオイド受容体(MOR)がdown-regulationするため、MOR刺激作用のみを有するオピオイドでは効果が得られにくい。 そこで本研究では、疼痛緩和目的でオピオイドを開始した入院がん患者を対象とし、オピオイド開始前後での疼痛強度の減少量と有害事象、生体因子との関連性を調査することで、早期に効果や副作用の発現を予測する方法を開発する。また、MOR刺激作用のみを有するオピオイドと複数の作用を併せ持つオピオイドの効果を比較し、神経障害性疼痛や骨転移痛に対するオピオイドの新規使用法を確立する。
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研究実績の概要 |
研究① OPRM1 A118G多型によるオピオイド疼痛治療への影響に関する比較検討 オピオイドの効果発現には個人差が存在し、その主な原因として、オピオイド標的受容体の遺伝子多型(OPRM1 A118G多型)が注目されている。そこで本研究では、がん疼痛緩和目的でオピオイドを開始した患者を対象として、A118G多型が各オピオイドの効果発現に及ぼす影響を比較した。その結果、ヒドロモルフォンやオキシコドン、フェンタニルを使用した患者では、AAキャリアに比べてAGキャリアとGGキャリアの疼痛強度減少量が有意に小さかった。一方、タペンタドールやメサドンを使用した患者ではAA、AG、GGキャリア間で疼痛強度減少量に有意差はなかった。したがって、A118G多型の影響を受けにくいタペンタドールとメサドンは、Gアレルキャリアに対して有望な治療選択肢になり得ると考えられた。
研究② がん患者の骨転移痛に対するオピオイドの有効性に関する比較検討 がんの骨転移による痛みは、病態の進行に伴い脊髄神経の感作が進行するため、モルヒネなどのオピオイドでは鎮痛効果が得られにくくなる。我々の過去の研究より、タペンタドールとメサドンが神経障害性疼痛の要素を含んだ骨転移痛に対して効果を示す可能性が考えられたため、本研究では、神経障害性疼痛の代表的な症状であるしびれの有無で患者を分けた上で、治療前後での疼痛強度減少量をオピオイド間で比較した。その結果、しびれがある患者では、ヒドロモルフォンやオキシコドン、フェンタニルを使用した患者に比べて、タペンタドールやメサドンを使用した患者の疼痛強度減少量が有意に大きかった。したがって、タペンタドールとメサドンは、しびれを伴った骨転移痛に対し、他のオピオイドよりも有効性が高い可能性が示唆された。
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