研究実績の概要 |
Wrinkle Force Microscopy」というアプローチ(Li, H., Matsunaga, D.,... Deguchi, S., Wrinkle force microscopy: a machine learning based approach to predict cell mechanics from images. Communications Biology 5, 361, 2022.)を用い,昨年度は,顕微鏡画像のみで細胞メカニズム(収縮力)の計測が簡素化できることが確認した.この成果は,従来法と比べ作業手順が簡素であるため高いスループット性を備えた計測を実施できるメリットを備える.本年度は,このアプローチを踏まえて、細胞の収縮力を駆動するアクチンストレスファイバとそれを対応する細胞形態学上の関係を機械学習で探究した.アクチンストレスファイバは,細胞内で収縮力を発揮するために重要な役割を果たすため,細胞の機能や異常な変化を理解する上で重要な指標となる.この研究では,顕微鏡画像で獲得する細胞の形状のみでアクチンストレスファイバの幾何分布と幾何学的な特徴を明確にすることが可能になった.この研究により,細胞の収縮力を正確に測定することができるだけでなく,アクチンストレスファイバと細胞形態学上の関係を明確にすることで,細胞の機能や異常な変化に対する理解が深まることが期待される.この成果(Li, H., Liu, S., Deguchi, S., Matsunaga, M., Knowledge” installed” diffusion model predicts the geometry of actin cytoskeleton from cell morphology. bioRxiv.)は,NatureシリーズであるCommunications Biology誌に投稿され、現在査読中となっている.また招待講演(Li Honghan, 松永 大樹, 出口真次, 機械学習に基づく細胞力学の計測と解析. 第33回バイオフロンティア講演会)を受けてこれまでの成果も発表された.
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