研究課題/領域番号 |
22KJ2091
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補助金の研究課題番号 |
21J22493 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 慎太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | CO2電解還元 / 電極触媒 / 固体高分子型CO2電解 / 単一原子触媒 / 共有結合性有機構造体 / 第一原理計算 |
研究開始時の研究の概要 |
CO2の電解還元は次世代のクリーンな燃料・化学原料の製造法として大きな注目を集めている。従来のほとんどの電極触媒では、その生成物は一酸化炭素(CO)のみに限られており、CO2をより還元が進んだメタンやメタノールなどの高付加価値な有機物へと高効率に変換できる電極触媒材料の開発が求められている。本研究課題では、金属を単核で担持した多孔性高分子材料を用い、多段階反応によりワンポットでCO2から有機物への変換を目指す。さらには、ガス拡散電極や固体高分子型電解セルを用いることで反応の高速化や駆動電圧の低減を試み、CO2電解の社会実装に向けた電解系を構築する。
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研究実績の概要 |
カーボンニュートラルの実現を目指す中で、CO2の電解還元は次世代のクリーンな燃料・化学原料の製造法として大きな注目を集めている。CO(一酸化炭素)よりもさらに還元が進んだエチレンやエタノールといったC2化合物は化学工業の基幹原料として特に重要であり、それらを高速・高選択的に生成できれば、CO2電解の社会実装に加速的に進むと期待される。そのような背景のもと、本研究課題ではC2化合物生成に高活性・高選択な電極触媒の創製に加え、その触媒能を最大限に引き出すことができる電極・電解セル開発を目指す。 本年度は触媒能を最大限に引き出すことができる電極・電解セル開発を目的に、電解質の厚みを極限にまで薄くした固体高分子型CO2電解系においてアノード電解液由来のアルカリカチオン種がカソード側でのCO2還元反応に及ぼす影響の定量的評価を試みた。 その結果、固体高分子膜をクロスオーバーしたアルカリカチオン種はCO2電解活性に正と負の両方の影響を及ぼすことを示唆した結果が得られた。アノード電解液に超純水を用いた場合にはC2化合物生成はほぼ確認されなかったことから、アノード電解液由来のアルカリカチオンがカソード側でのC2化合物生成における重要な要素であることが示唆された。また、アノード側からカソード側に輸送されるアルカリカチオン量の制御によりC2化合物生成の電解耐久性は大幅に向上した。これらの結果は、固体高分子型CO2電解において、アルカリカチオン種、および輸送量の適切な制御が重要であることを意味しており、高活性・高耐久性を発現可能にする必要条件の1つが明らかになったという点において非常に価値がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体高分子型CO2電解において、固体電解質膜をクロスオーバーしたアルカリカチオンの種類および量の制御がC2化合物生成の高活性・高耐久性を発現する必要条件であることが明らかとなった。この成果を元に電極触媒材料の触媒能を引き出すことができる電解系の構築が可能となったことから、概ね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度得られた知見を応用した高活性・高選択的な電極触媒と、今年度開発した高いC2化合物生成活性・耐久性を発現可能な電解系を調和的に組み合わせることで、当初掲げた最終的な数値目標であるCO2から有機物への部分電流密度-100 mAcm-2の達成を目指す。
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