研究課題/領域番号 |
22KJ2119
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補助金の研究課題番号 |
22J10634 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水原 啓太 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 生理心理学 / 呼吸 / 知覚 / 実験心理学 / 呼吸位相 / 事象関連電位 |
研究開始時の研究の概要 |
呼吸や心拍といった自律神経系活動が脳で行われる処理に影響を及ぼすという知見がある。そのなかでも,近年では,呼吸位相(吸気・呼気)に注目した実験研究が注目されるようになってきた。本研究では,視覚刺激を用いた弁別課題の正答率や,聴覚刺激に対する事象関連電位を呼吸位相間で比較することによって,外界の知覚・認知における呼吸位相の役割について,実験心理学的手法を用いて検討する。
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研究実績の概要 |
前年度は,視覚刺激がランダムな時間間隔で自動的に提示される場面では,鼻から息を吐くときよりも息を吸うときのほうが情動視覚刺激の検出感度が高まることを示した。本年度は,呼吸の随意性に注目して,この知見が拡張できるのかを検討した。前年度と同じ顔画像を用いた。実験では,息を吸う/吐く場面で刺激を見るように呼吸を調整するように実験参加者に求めた。学生39名が実験に参加した。一定の時間間隔で真顔と恐怖表情が100ミリ秒対提示されるので,参加者は鼻から息を吸う,もしくは息を吐くときに刺激を見るように呼吸を調整した。そして,恐怖表情を強制選択するように求めた。実験の結果,視覚刺激の弁別成績は呼吸位相間で変わらなかった。このことから,呼吸位相が情動視覚刺激の知覚に及ぼす影響は,刺激の提示に合わせて呼吸位相を調整する場面では認められないことが示された。 本研究全体の結論は次の3つである。第一に,鼻から息を吸うと情動視覚刺激(とくに恐怖表情)の検出感度が高まることである。第二に,この効果は視覚刺激が自動的に提示される場面においてのみ認められるものだということである。第三に,刺激提示に関連した事象関連電位(event-related potential: ERP)は呼吸位相間で変わらなかったことから,呼吸位相が情動視覚刺激の知覚処理に及ぼす影響は,ERPには反映されない皮質下経路で生じている可能性が示唆されたことである。 研究の成果は査読あり学術論文として出版したり,国内外の学会で発表したりした。とくに,日本心理学会第87回大会で行った小講演は盛況だった。
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