研究課題/領域番号 |
22KJ2182
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補助金の研究課題番号 |
22J20156 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 悠希 大阪大学, 人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 砂糖 / 客家 / 移住 / 開発 / 流通 / 清代 / 中華民国 / 四川 / 移住民社会 / 四川省 |
研究開始時の研究の概要 |
清代から中華民国の初期にかけて四川省で隆盛した糖業に着目し、四川糖の生産過程・流通域・消費方法まで広く明らかにする。四川糖業の隆盛には、福建や広東からの客家系移住者が大きなカギを握っていた。本研究では、人々の移動に起因した四川省移住民社会における移住・開発の展開と、糖業隆盛の関連性について考察する。これにより、19・20世紀の四川省において在地の有力宗族へと上昇を果たした客家系宗族たちの生存戦略や、それを可能にしていた砂糖をとりまく当時の社会状況について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度も昨年度に続き、四川省において18世紀ごろに移住した広東や福建からの客家系移住者を中心に担われていた砂糖生産の実態と、四川糖の流通域についての分析を行った。四川省に入った移住者は、基本的に稲作の適地への入植を行うのに対し、四川省におけるサトウキビ栽培・製糖は、稲作に不向きな河川沿いの砂質土で展開されていた。これまでの分析を通し、製糖知識のある移住宗族にとって、獲得競争の熾烈な稲作地帯ではなく、川沿いの砂質土で経済作物を育てることは理にかなった選択であったことが分かった。その後、四川糖業は19世紀後半に最盛期を迎え、外国糖の流入や砂糖の生産や流通に課せられた税の徴収が増加したことをきっかけに1920年代以降衰退してしまう。しかしながら、19世紀後半には、四川糖の流通域は中国沿海部にまで及び、1910年代頃まで、湖北・湖南を中心とする中国内陸部に市場を有しており、長江上流域の一大産糖地としての四川省の存在は、外国糖が長江中・上流域にまで進出する上での障壁となっていたことが分かった。 また、9月と3月には、台湾での史料調査行い、『巴県档案』のうち、特に四川糖や四川省に移住した人々による土地売買に関する資料を収集した。これにより、四川糖をめぐる訴訟を分析し、四川糖流通の具体像について迫ることができる。 12月には、昨年に引き続き、宮崎県日南市の風田製糖組合と熊本県天草市の佐伊津町黒砂糖組合に取材を申し込み、サトウキビ栽培と伝統的製法による黒糖作りを調査した。昨年には見ることのできなかった地下釜の構造などを確認することができたほか、永らく製糖に携わっている方々から貴重な話を伺うことができ、伝統的製法による砂糖生産についてイメージをつかむことに繋がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四川省における砂糖生産の実態と四川糖の流通域について、概ね想定通りに分析を進めることが出来た。また、九州でのフィールドワークも予定通りに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
四川省での史フィールドワークを行い、『巴県档案』と族譜史料の収集を進め、四川糖の流通構造について明らかにする。その上で、四川省にまで客家集団が移住することになった経済的背景について、過去に類を見ない大規模な移住活動に対処しなくてはならなかった地方官たちの上奏文を用いて分析を行う。また、料理書や新聞、小説など幅広い史料を用いて、19世紀から20世紀にかけての四川糖の具体的な消費方法について分析を深めていく。
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