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全光量子中継のための大規模量子もつれ状態の生成

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2202
補助金の研究課題番号 22J20801 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
研究機関大阪大学

研究代表者

村上 翔一  大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード量子もつれ光子対源 / 全光量子中継 / 量子周波数変換 / 量子情報処理 / 量子通信 / タンデム型type-2疑似位相整合導波路 / 自発的光パラメトリック下方変換 / 量子鍵配送
研究開始時の研究の概要

長距離量子通信においては現在の光中継器を量子中継器に置き換える必要がある。従来この量子中継器を実現する物理系として中性原子等の物質量子メモリが想定されていたが、2015年に多光子の量子もつれ状態を用いる全光量子中継プロトコルが考案された。当プロトコルは実証実験も行われているが、(1)通信波長帯ではないこと、(2)測定結果に応じた量子もつれ状態の制御が行われていないこと、(3)光子数が少ないこと等の問題点が存在する。
本研究では全光量子中継プロトコルの実用化を目指し、(1)通信波長帯での高効率な光子対源の開発、(2)量子もつれ状態の制御、(3)(1)を用いた大規模量子もつれ状態の作成に取り組む。

研究実績の概要

量子ネットワーク構築に向けて以下の研究を行った
(1)一昨年度はタンデム型type-2疑似位相整合したPPLN導波路を連続光で励起し、偏光自由度で量子もつれを有することを確認した。これについて昨年四月の国際学会で口頭発表した。昨年度は二光子干渉を見据えてこの励起光をピコ秒のパルスレーザーに代えて実験を行った。この場合、タンデム型であることに起因した群速度遅延の影響で発生光子対の忠実度が下がってしまうという問題がある。このような状況で合っても、バンドパスフィルタで各光子の帯域を制限してコヒーレンス時間を延ばし、群速度遅延の影響を抑制することで、発生した光子対が90%を超える忠実度を有することを確認した。
(2)今後量子インターネット実現に向けて物質量子系から発光された光子の周波数をファイバネットワークに適したそれに変更する、量子周波数変換(QFC)を行う必要がある。そこで、NTTにおいて開発されたファイバベースでQFCを行うモジュール(4-port fiber-pigtailed QFC module)の性能評価を行い、さらにこれを用いた単一光子のQFC実験を実証した。この成果は論文として出版した(Opt. Express 31, 18, 29271-29279 (2023))。
(3)変換光にのみ共振器構造を持ったPPLN導波路を用いてQFCを行う実験にも取り組んだ。この実験によって、変換光の量子性を下げる原因であるラマン散乱光が共振器に共鳴した周波数構造を持ち、帯域の広いバンドパスフィルタのみで高い信号雑音比を得られる可能性を示した。この結果は昨年秋に行われた国内研究会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

提案したタンデム型PPLNを用いた量子もつれ光子対源の研究のみでなく、三体相関を持った多光子状態の作成にも取り組んでいる。
また、長距離量子通信の実現を目指して全光量子中継器の作成のみでなく、物質量子系とインターフェースである量子周波数変換にまで研究の領域を広げているため、元の計画から少し遅れている。

今後の研究の推進方策

パルス励起を用いてタンデム型type-2疑似位相整合PPLN導波路からエンタングル光子対を生成することには成功している。今後はこの光子対源二つから発生させたシグナル光子どうしを二光子干渉させ、さらに光子対同士のエンタングルメントスワッピングも行うことを目指す。
また、今後さらに大規模な量子もつれ状態を作成するためには三光子を同時に発生させることが大事であると考え、現在はそれにも取り組んでいる。この状態を拡張して三体の偏光量子もつれ状態を作ることができれば、ベル測定と呼ばれる操作のみで量子もつれ状態を拡張していくことができるため、多光子量子もつれ状態の作成、そして全光量子中継プロトコルの実証を目指した本研究の目標に非常に合致したものである。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Quantum frequency conversion using 4-port fiber-pigtailed PPLN module2023

    • 著者名/発表者名
      Murakami Shoichi、Fujimoto Rintaro、Kobayashi Toshiki、Ikuta Rikizo、Inoue Asuka、Umeki Takeshi、Miki Shigehito、China Fumihiro、Terai Hirotaka、Kasahara Ryoichi、Mukai Tetsuya、Imoto Nobuyuki、Yamamoto Takashi
    • 雑誌名

      Optics Express

      巻: 31 号: 18 ページ: 29271-29271

    • DOI

      10.1364/oe.494313

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 変換光のみを共振器増強した量子周波数変換実験2023

    • 著者名/発表者名
      村上翔一, 小林 俊輝, 三木 茂人, 知名 史博, 寺井 弘高, 山本 俊, 生田 力三
    • 学会等名
      第49回量子情報技術研究会(QIT49)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Polarization-entangled photon pair generation with a tandem type-II quasi-phase-matched PPLN waveguide2023

    • 著者名/発表者名
      Shoichi Murakami, Shogo Hayashi, Toshiki Kobayashi, Fumihiro China, Shigehito Miki, Hirotaka Terai, Tsuyoshi Kodama, Tsuneaki Sawaya, Akihiko Ohtomo, Hideki Shimoi, Rikizo Ikuta, Takashi Yamamoto
    • 学会等名
      12th Advanced Lasers and Photon Sources Conference (ALPS2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] タンデム型type-II 疑似位相整合PPLN 導波路による非縮退光子対生成2022

    • 著者名/発表者名
      林祥吾, 村上翔一, 小林俊輝, 生田力三, 知名史博, 三木茂人, 寺井弘高, 小玉剛史, 澤谷恒明, 大友昭彦, 下井英樹, 山本俊
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Loss-tolerant single all-photonic quantum repeater2022

    • 著者名/発表者名
      Shoichi Murakami, Koji Azuma
    • 学会等名
      第30回 量子情報関西 Student Chapter
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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