研究実績の概要 |
2021年度は一様磁場のかかったT^2/Z_2オービフォールド模型における世代数構造(Atiyah-Singerの指数定理)を明らかにした。トレース公式を用いて指数(世代数)を具体的に計算することにより、具体的表式を求めた。2022年度は一様磁場のかかったT^2/Z_N(N=2,3,4,6)オービフォールド模型における世代数構造の導出を2通りの方法で行なった。一つ目の方法は2021年度にT^2/Z_2オービフォールド模型における証明で用いた方法と同様の方法で、N=3,4,6の場合に指数(世代数)をトレース公式により具体的に計算することによって求めた。二つ目の方法は、オービフォールド模型に存在する固定点を除去し、滑らかな多様体(blow-up多様体)を構成することにより、Atiyah-Singerの指数定理を直接適用し求めた。オービフォールド模型は固定点を持ち、固定点が特異点であるためにその世代数構造の解析が困難であった。そこで、オービフォールドの固定点周りを切り取り、その切り取り口に合わせて、切り取った部分と同じトポロジカル(位相的)な情報を持つ、一様磁場のかかった球の一部を埋め込んだ。これにより、特異点による穴が塞がり、滑らかなblow-up多様体を構成できる。blow-up多様体構成の際に重要な点は、オービフォールド模型が持つトポロジカルな情報を保ったまま、接続をすることだ。この方法によって得られた結果は一つ目の方法による結果と一致している。2023年度は、ある余剰次元模型において世代数がどのように制限されるかを調べた。結果として、tadpole cancellation conditionによって世代数の上限が与えられることを示した。
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