研究課題/領域番号 |
22KJ2249
|
補助金の研究課題番号 |
22J00345 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
|
研究機関 | 東京大学 (2023) 神戸大学 (2022) |
研究代表者 |
藤倉 浩平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 宇宙論 / 相転移 / 臨界現象 / 素粒子標準模型 |
研究開始時の研究の概要 |
初期宇宙は、熱いプラズマ流体で満たされており、自発的対称性の破れに準ずる宇宙論的な相転移が起きることが期待されている。特に、相転移の次数が一次であると、重力波が生成され、その将来観測によって標準模型を超える新しい物理学の情報を抜き出すことができる。したがって、宇宙論的相転移の次数を決定することは一つの重要な課題となっている。本研究では、標準模型を超える新しい物理で起きると期待される宇宙論的相転移の次数を様々な手法を用いて解析する。
|
研究実績の概要 |
本研究の当該年度の目標は、標準模型を超える新しい物理で起きると期待される宇宙論的相転移を普遍性の仮定の下に解析することです。本年度では、特に標準模型のHiggs粒子を複合粒子とするcomposite Higgs模型で起きる宇宙論的相転移について焦点を当てました。当初の研究計画通り、composite Higgs模型で起きるカイラル対称性の破れを実現する線型シグマ模型を構築し、その有効理論を用いてくりこみ群の解析を用いることで相転移の次数について議論いたしました。解析の結果、複数のcomposite Higgs模型では、熱揺らぎによって一次相転移が実現されることを示唆しました。また、当初の研究計画にはなかったcomposite Higgs模型で起きると期待される新しい強結合のゲージ理論に伴う閉じ込め・非閉じ込めの相転移についても議論しました。この研究の論文執筆の目処が立ち、現在は論文執筆を進めています。
また、上記の研究以外にもquintessential inflationと呼ばれる初期宇宙のインフレーションのシナリオにおいて、再加熱、バリオン非対称性の生成、暗黒物質の生成、ニュートリノ振動を説明する宇宙論の模型を構築しました。具体的には、標準模型のヒッグス粒子とスカラー曲率の結合により、現在の観測と無矛盾な再加熱過程が実現されることを示しました。また、右巻きニュートリノの重力粒子生成により、現在の宇宙を実現するのに必要な量のバリオン非対称性を生成できることを示しました。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の一年目通りの研究を達成し、当初の研究計画にはなかった相転移についても解析をしていることを考慮し、おおむね順調にしているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、相転移の物理を熱平衡系を仮定し議論を進めていた。ところが、研究を進めていく上で、臨界点近傍で重要になり得る非平衡効果についても議論する必要があることが判明した。この効果を非平衡系の場の理論を用いて系統的に取り入れることができないか考える予定である。
|