研究課題/領域番号 |
22KJ2259
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補助金の研究課題番号 |
22J10557 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木村 彩音 (2023) 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(DC2)
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特別研究員 |
木村 彩音 (2022) 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | オーストラリア先住民 / トレス海峡諸島民 / 移民祖先 / 和歌山県 / 記憶の継承 / 多様な祖先 / 系譜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アジア人など非白人の外国人季節労働者の血縁者を、なぜ、トレス海峡諸島民、特に木曜島の人々(以下TSI)が先住民の系譜に位置付け、先住民の祖先とほぼ同様に扱うことがあるのか明らかにすることを目的とする。TSI社会における先住民の真正性をめぐる相互交渉を分析し、当該社会において、非白人の祖先を持つことが、TSIの先住民としての真正性にどのように影響するのか解明する。これは祖先や系譜とは何か、先住民の真正性と親族との関係性を問い直す作業ともなる。また、白人の祖先をもつ先住民研究との対比から、非先住民の親族が先住民の系譜に取り込まれる/取り込まれない要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、オーストラリア北部のトレス海峡諸島、木曜島のトレス海峡諸島民を対象として、移民祖先の系譜が先住民にとっていかなる意味を持つのか人類学的に検討することを試みた。そのために当該年度中、和歌山県およびトレス海峡諸島でのそれぞれ一度ずつ現地調査を実施した。 和歌山県では、和歌山県出身者を祖先にもつトレス海峡諸島民が、自身の祖先のルーツやその祖先に連なる日本の親族を探す旅に同行した。その過程で、祖先の記憶に触れた際の彼らの反応や日本側親族とのやり取りを参与観察したほか、彼らが部分的に継承している日本人祖先の記憶や、彼らの親族関係、系譜における日本人祖先の位置付けなどの聞き取りなどをおこなった。また彼らとともに部分的にではあるが日本側の系譜の収集、ライフヒストリー/ファミリーヒストリーの収集をおこなった。 トレス海峡諸島木曜島では、墓地でのマッピング、墓碑の収集、移民祖先を含めた系図の収集、ライフヒストリー/ファミリーヒストリーの収集、去年発足した木曜島和歌山会のミーティングの参与観察などを実施した。これらの調査を通して、木曜島のトレス海峡諸島民社会において、移民祖先、特に和歌山県出身の日本人祖先がどのような社会的位置付けにあるのか、かなりの程度把握することができた。一方で、これら2回の調査では調べきないことも多くあった。たとえば和歌山県の日本人祖先の墓の場所やその親族の所在などは、個人情報に関わることもあり、限られた情報しか得ることができなかった。また木曜島での調査では、墓地の整備が十分になされていなかったため、墓地全体の完全なマッピングをすることはできなかった。さらに、移民祖先を持たないトレス海峡諸島民への聞き取りはかなり不足している。 不足する部分はありつつも、大学に戻ってからは調査で得られたデータをもとに、研究課題を達成するべく研究発表と論文執筆に専念した。
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