研究課題/領域番号 |
22KJ2292
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補助金の研究課題番号 |
22J22358 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
岡田 竜馬 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 偏光CMOSイメージセンサ / ミリ波 / THz波 / 高周波電界イメージング / 複屈折率計測 / 電気光学効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,独自の偏光イメージング技術に立脚して高感度リアルタイム高周波撮像装置を構築し,サブミリ波からTHz電界分布を可視化する.独自の偏光イメージセンサに電界分布イメージング専用設計を施すことによって,今まで計測できなかった微弱な電界分布までリアルタイムに計測が可能となる.本研究の完成により,リアルタイム高周波電界イメージングにおける感度の飛躍的な向上,および,サブミリ波帯の可視化が可能になることによって,Beyond 5G,6Gにおける評価の効率化が見込まれる.
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研究実績の概要 |
本研究は,独自の偏光イメージング技術に立脚して高感度リアルタイム高周波撮像装置を構築し,サブミリ波からTHz波電界分布を可視化することを目的としている.これに対し,本年度は,偏光イメージセンサの画素構造改良による感度向上および,光学系の高出力対応と高周波化による電界イメージングシステムの観察周波数の拡張と感度改善を行った. 偏光イメージセンサについて,光学系の条件に合わせて昨年度の画素上偏光子構造からさらに改善を行い,画素上偏光子の積層枚数を増加させることによって波長780nmにおける消光比が昨年度までの3.3から5.0まで改善された.この改善によって,昨年度より,微弱偏光変化に対する感度が2割程度向上した.この構造では,入射角依存性が強くなってしまうが,我々の電界イメージングシステムでは,低倍率光学系であるため,あまり問題にはならないと考えている. 電界イメージングシステムの改善において,光学系の高出力対応を行い,昨年度までは,ミリ波電界イメージングにおいて,0.25 FPS程度であった撮像速度を5 FPSまでに大幅に向上させることに成功した.パッチアンテナに入力する30 GHzの信号位相を周期的に変化させながら連続撮像を実施したところ,設定した通りの電界像が得られた.また,変調光生成部において,高次サイドバンドを利用することによって,0.1THz帯の電界イメージングを行った. 今年度は,得られた研究成果に基づいて,国内4件の学会発表を行った.来年度は,今年度得られた研究成果に加えて,現在実施中の研究成果を踏まえて論文発表や国内外の学会での発表を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初の計画通りにTHz帯に対応した電界イメージングシステムの開発を行った.それと平行して,偏光イメージセンサの画素構造改良による感度向上を行った. 昨年度までの研究成果に基づき,最適化を行った偏光子ピッチを用いて,画素上偏光子の積層枚数を変更したテストチップを作製し,比較検討を行った.この比較検討の結果,波長780nmにおいて,昨年度までの3.3から5.0まで改善され,微弱偏光検出性能が2割ほど向上した. 電界イメージングシステムでは,光学系の高出力対応と偏光イメージセンサの高感度化によって感度が大幅に改善され,ミリ波帯の電界イメージングフレームレートが昨年度までの0.25 FPSから5 FPSまで向上した.また,高次サイドバンドを用いることで0.1THz帯まで観察周波数を向上させることに成功している.また,観察対象周波数が変動した場合にも対応可能な局部発振変調光生成手法の検討も開始しており,基本的な動作確認を行っている.さらに,リアルタイム電界イメージングシステムの開発に向けて,チップ内で中間周波数の検波を行うシステムの検討と読み出しシステムの開発に着手している.
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べた通り,観察周波数の向上行いTHz帯の電界イメージングに成功しているが,この電界をリアルタイムに撮像することがまだできていない.そのため,今後リアルタイム電界イメージングに向けたシステム開発に注力する.チップ内で中間周波数の検波を行う方法に関して,画素内で行うものと,画素外で行うものの2種類での比較検討を行う.また,高速撮像システムの開発を行い,現状より高い中間周波数でのイメージングを目指す. また,基本的な動作確認を行っている,観察対象周波数が変動した場合にも対応可能な局部発振変調光生成手法を目的のTHz帯まで拡張し,リアルタイム電界イメージングシステムと組み合わせることで,様々なTHz波源を対象にした電界イメージングが可能となる.
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