研究課題/領域番号 |
22KJ2295
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補助金の研究課題番号 |
22J40140 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
渡邉 むつみ 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 硫黄代謝 / 硫黄欠乏応答 / 植物二次代謝 / 比較ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
硫黄欠乏代謝応答の鍵因子のひとつであるSDI(Sulfur Deficiency-Induced)の研究をモデルケースとして、作物種のゲノム情報と代謝多様性解析を統合し、モデル植物の研究知見を作物種へ応用可能とする生体調節適応機構を解明する新しい研究法の構築を目指す。SDIは、アブラナ科特異的特化代謝物であるグルコシノレートの生合成の抑制因子であるが、アブラナ科以外の植物種での機能は不明である。本研究では、トマト、ダイズ、イネ等について、SDIオルソログ遺伝子の機能同定を行うことで、機能分化や機能保存性を評価し、植物の硫黄欠乏適応代謝機構の包括的な理解を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、硫黄欠乏応答遺伝子であるSDI (Sulfur Deficiency-Induced) 遺伝子の機能分化と機能保存性について、双子葉作物 (トマト、ダイズ)、単子葉穀物 (イネ) 及び作物種を含むアブラナ科6種を対象に実験的に解析を行うことで、植物の硫黄欠乏適応代謝機構の包括的な理解を目指す。2023年度は、配列相同性/系統樹解析及びシンテニー領域解析や、硫黄欠乏応答性評価により特定した各植物のSDIオルソログ遺伝子について、シロイヌナズナを用いた過剰発現体の作製を行った。シロイヌナズナSDI遺伝子とダイズSDIオルソログ遺伝子の過剰発現体の遺伝子発現解析及び、代謝物分析を行い、SDI遺伝子の植物種間機能保存性を評価した。さらに、ダイズSDIオルソログ遺伝子については、ダイズの毛状根形質転換法及びタバコの葉を対象とした一過的発現法を用いて過剰発現体を作製し、遺伝子発現解析及び、代謝物分析を行った。その結果、過剰発現体特異的に増加する特化代謝物を見出した。また、各植物の硫黄欠乏時のサンプルや、様々な組織 (根、葉、茎、花序、果実、種子等)について代謝物分析を行い、一次代謝物や特化代謝物等の包括的な代謝物変動解析も行った。今後、各植物のSDIオルソログ遺伝子群の発現解析を行い、代謝物分析結果と統合することで、SDIオルソログ遺伝子の機能推定もしくは機能評価に利用する。また、植物種間比較ゲノム解析として、約60種のゲノムデータセットを用いたシンテニーネットワークを使用し、SDIオルソログ遺伝子のシンテニー領域解析を行った。本研究で構築した植物の代謝多様性に関わる鍵遺伝子特定法を論文発表した (Watanabe M. and Tohge T., 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各植物のSDIオルソログ遺伝子 (シロイヌナズナ2遺伝子、トマト3遺伝子、ダイズ4遺伝子、イネ2遺伝子) について、シロイヌナズナを用いた過剰発現体の作製を行った。ダイズSDIオルソログ遺伝子については、シロイヌナズナを用いた過剰発現体、ダイズの毛状根形質転換法及びタバコの葉を対象とした一過的発現法を用いた過剰発現体の遺伝子発現解析及び代謝物分析を行った結果、過剰発現体特異的に蓄積増加する特化代謝物を見出すことができた。また、各植物を用いた形質転換体作製に向けて、トマトでは、葉や果実を対象とした一過的発現法を確立した。トマトの子葉切片由来カルスを利用した形質転換法やイネの種子胚盤由来のカルスを利用した形質転換法の系は現在確立中である。また、各植物の硫黄欠乏時のサンプルや、様々な組織について包括的な代謝物変動解析も行った。
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今後の研究の推進方策 |
現在作製中のトマトとイネのSDIオルソログ遺伝子の過剰発現体の解析を進める。ダイズSDIオルソログ遺伝子に関しては、制御する生合成経路候補が特定できたため、相互作用実験等を含めた分子生物学的実験を行い、SDIオルソログ遺伝子の機能解明を目指す。トマトとイネに関しても、SDIオルソログ遺伝子が制御する生合成経路候補が特定出来次第、分子生物学的実験を行う。また、各植物の硫黄欠乏時のサンプルや様々な組織について、SDIオルソログ遺伝子群の発現解析を行い、代謝物変動解析結果と統合することで、SDIオルソログ遺伝子の機能推定もしくは機能評価に利用する。
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