研究課題
特別研究員奨励費
ACME実験は極性分子を用いて電子の電気双極子モーメント (eEDM) を探索することで、CP対称性の破れの観測を目指している。ACMEはこれまでeEDMを世界最高精度で探索してきた実験であり、その感度を30倍向上させるために装置のアップグレードを遂行している。本研究は測定感度向上のためにACMEにおける信号強度を強めることを目的とし、Sillicon Photomultiplierを用いた光検出器の開発、運用を行うものである。
ACME実験は極低温に冷却したThO分子ビームを用いて、電子の電気双極子モーメント(eEDM)を探索する実験である。2018年に世界最高精度でeEDMに対する上限値を与えたのち、その感度をさらに30倍にするため装置全体のアップグレード(ACME III)を行なっている。本研究では期間全体を通して、アップグレードの一環として採用される光検出器Sillicon Photomultiplierモジュール(SiPMモジュール)の開発および現地での運用を行なってきた。開発したSiPMモジュールは従来ACMEで用いられていた検出器に比べ2.7倍の検出効率をもつことが確認されている。2023年度には8台のSiPMモジュールを量産・インストールし、その後は安定したオペレーションやデータ取得のための準備を行なってきた。最終年度は実験サイトであるNorthwestern大学に長期滞在し、インストールしたSiPMモジュールを用いてThOビームからの信号の観測に取り組んだ。共同研究者と協力し2024年2月までにACME IIIに用いられるほとんどすべてのパーツのインストールを完了した。その後ACME IIIビームラインではじめてThOビームからの信号の観測に成功し、その際に観測された信号レートはアップグレードで想定していた統計量の向上と一致するものであることを確認した。今後はこれらの装置を用いて系統誤差スタディを行い、eEDM探索に向けたデータ取得を行う計画である。
すべて 2024 2023 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
日本電気学会電子回路研究会
巻: ECT-23-053
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 1045 ページ: 167513-167513
10.1016/j.nima.2022.167513
Optics Express
巻: 31 号: 2 ページ: 1943-1943
10.1364/oe.475109