研究課題/領域番号 |
22KJ2358
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補助金の研究課題番号 |
20J00793 (2020-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2020-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
三浦 郁修 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 特別研究員(CPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 感染症数理モデル / 下水データ / ウイルス動態 / ノロウイルス / SARS-CoV-2 / 下水疫学 / 数理モデル / 感染症疫学 / 理論疫学 / Mpox / 感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では都市内の微生物情報を大量に含む下水データを活用することで、「観測されない不顕性感染者・非来院患者を含むノロウイルス感染動態の理解」及び「微生物データ等の大規模データと数理モデルを用いた感染者予測・検知」を行うことを目的としている。報告感染者数などの疫学データと下水データを統合し、数理モデルを組み合わせることで、未報告を含む総感染者数の推定や流行トレンドの予測を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では都市内の微生物情報を大量に含む水インフラを活用し、「観測されない不顕性感染 者・非来院患者を含むノロウイルス感染動態の理解」及び「微生物データや気象データ等の大 規模データと機械学習モデルを用いた感染者予測・検知」を行うことを目的とした。当初の研究計画ではノロウイルスの下水中濃度の時系列データをモデリングすることを予定していたが、COVID-19パンデミックに伴い、SARS-CoV-2やMpoxなどを適用事例 としながら同様の手法の開発を行った。
本年度の成果として(1)状態空間と拡張カルマンフィルタを用いた下水モデルの提案・論文執筆(2)Mpoxのウイルス排出ダイナミクスの解析・論文執筆、をそれぞれ行った。 (1)については、日本の複数自治体における下水中ウイルス量データに本課題で提案する拡張カルマンフィルタを用いたモデリング手法を適用することで、未報告の感染者を含む総感染者数の推定や、実行再生産数の算出、介入効果を可視化するシナリオ分析などを行った。本成果はEurosurveillance誌に投稿し、追加分析を行った上で、採択された。 (2)については、Mpox患者の個人ごとの排出ウイルス量の経時追跡データを対象として分析を行った。本研究では、数理モデルと機械学習モデルを組合せたアプローチを採用した:第一ステップとして、ウイルスの排出動態を記述する数理モデルを適合し(欠損値などがあっても)統一的に各個人の排出ダイナミクスを推定した。次に、推定されたモデルパラメータ(例えば初期ウイルス量や排出速度などといった機構的な意味付けのあるパラメータ)を機械学習モデルを用いてクラスタリングすることで、個々人の違い・異質性を考慮しながら層別化を行った。ウイルス排出の総量の多い個人・排出期間が長い個人をターゲットとして感染対策や治療を効率化できる可能性を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していたようなノロウイルスの時系列データを入手することは困難になったが、より詳細なデータがSARS-CoV-2を対象に得られた。また日本の自治体とも連携が進めることができ、実際に複数の都市から詳細な下水データが得られ、新しい研究課題として実際にデータ分析を進めている。また、私企業と連動することで、実際の自治体ニーズをヒアリングしながら産学連携で研究手法を現場で利用してもらえるような形で進展できている。 本年度の成果として(1)の拡張カルマンフィルタを用いた機構モデルについては追加分析を行ったうえで国際誌に受理された。(2)のmpoxのウイルス排出ダイナミクスに関する研究は国際会議での発表や国際誌への投稿までまとめることができた。さらに、複数のフォローアップ研究にも繋がる形で進捗を生むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
申請当初の計画から、データの観点で遂行が困難になった部分については、第二年度の報告書時点で計画の変更を行っている。(COVID-19により構造的な変化が生じ、季節性のあるノロウイルスの流行データを長期時系列として得ることが不可能になったため。)今後の計画としては、得られる疾病データを利用しながら「個人のウイルス排出動態に基づく流行追跡のシミュレーション」や「複数のウイルス変異株が存在するときの感染伝播速度(増加率)の推定」を次の方針として予定している。
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