配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究実績の概要 |
本研究課題の最終年度では、高融点を持つイットリウム付加単結晶ジルコニア基板で作成した試料カプセルを新たに考案しつつ、初年度に確立した超高温高圧実験手法を駆使することによって、シリケイトメルトと金属鉄メルト間での窒素同位体分別係数を決定することを目標とした。試料カプセルとして選定したジルコニア基板だが、ジルコニウムはシリコンと同様に四価の陽イオンになるため、MgO単結晶基板とは異なりシリケイトメルト中で非架橋酸素を生成せず、溶融ケイ酸塩メルトをガラスとして急冷回収しやすいことも期待した。 一方で、本研究課題と並行して推進していた若手研究 (22K14123)では、金属鉄が存在するような還元的条件下で安定に存在するアンモニア (e.g., Li and Keppler, 2014)とferropericlase (化学組成: (Mg, Fe)O)といった酸化物が反応し、酸窒化物が生成されることが極めて強く示唆された。このような高温下における酸化物とアンモニア流体の反応は、材料科学分野では既に広く知られているが (e.g., Ebbinghaus et al., 2009)、地球超深部条件で酸窒化物ができることを示した点で極めて重要な知見である。ただし同時に、窒素同位体分別を決定するうえで、ジルコニアのような酸化物でできた試料カプセルは窒素同位体分別を決定する上で適当ではないことも分かった。 結果として、地球核形成における窒素同位体分別に関する先行研究間での三者三様の違い (Dalou et al., 2019; Shi et al., 2022; Grewal wt al., 2022)の原因を直接制約するには至らなかった。しかしながら、Dalou et al. (2019)だけは試料カプセルに酸化物ではなくグラファイトを用いており、正確なデータが得られていることを示唆できた。
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