研究課題/領域番号 |
22KJ2372
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補助金の研究課題番号 |
21J00414 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 (2023) 九州大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
辻井 悠希 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 光合成 / 森林 / 植物 / リン / オーストラリア / 植物生態学 / 土壌栄養 / 葉寿命 / 元素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
リンは植物の光合成速度を制御する重要な元素だが、リンによる光合成速度の制御機構の全貌はよく分かっていない。葉内のリン分配様式が光合成速度と関わるが、一般理論を構築できていないことが一つの理由である。本研究では、土壌リン欠乏が卓越するオーストラリア大陸をモデルとして、葉内リン分配の土壌リン傾度に沿ったパターンを明らかにする。国際研究グループを主導して、地球規模での葉内リン分配様式と光合成動態の関係を解明し、光合成動態を説明する一般モデルの構築を試みる。
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研究実績の概要 |
リンは植物の光合成を制御する重要な元素だが、リンによる光合成速度の制御機構の全貌はよく分かっていない。葉内のリン分配が光合成速度と関わるが、リン分配の制御理論を構築できていないことが一因である。こうした背景から、次の3つの研究課題を設定した。(課題1)リンが強く欠乏したオーストラリア大陸をモデルとして、樹木葉内のリン分配様式の土壌リン濃度に沿ったパターンを解明する;(課題2)九州大学をはじめ、マッコーリー大学、シドニー大学、西シドニー大学、西オーストラリア大学、中国科学院などを含む国際ワーキンググループを立ち上げ、地球規模で葉リン分配様式を一般化する;(課題3)コスト最小化理論に基づいたリンによる光合成制御の新たな理論を構築し、窒素分配様式との関係を組み込んだ光合成動態モデルの構築を目指す。 二年目である本年度は、初年度に引き続き課題1を中心に研究活動に従事した。調査地であるオーストラリアに継続滞在し、樹木葉サンプルの化学分析、データ解析、及び論文執筆を行った。前年度は、コロナウイルスの流行による都市封鎖のために研究活動が大きく制限された。このため、当初予定していた8サイトから3サイトまで調査地を減らし各サイトでの採集種数を増やすことで最低限のデータを収集する方針に切り替えた。この方針転換により、データ解析に必要最低限のデータを集めることができた。従って、データ解析と論文執筆にも着手した。 研究成果は、3月の日本生態学会仙台大会(オンライン)で英語口頭発表した。葉内リン分配に関する化学分析の学生指導も行った。同学生のポスター発表はポスター賞優秀賞(共著、日本生態学会仙台大会)に選出された。本プロジェクトに関わる成果として、国際誌(査読有)に筆頭論文2報、共著論文2報を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年目の本年度は、調査地であるオーストラリアに継続滞在し、樹木葉サンプルの化学分析、データ解析、及び論文執筆を行った。前年度は、コロナウイルスの流行による都市封鎖のために研究活動が大きく制限された。このため、当初予定していた8サイトの中から特に重要な3サイトに絞り最低限のデータを収集する方針に切り替えた。この方針転換により、解析に必要な最低限のデータを集めることができた。 データ解析と論文執筆にも着手し、国際誌(査読有)に筆頭論文2報、共著論文2報を出版した。 都市封鎖の影響により、プロジェクト全体としては予想よりデータ量が少ない。しかし、計画を一部変更したことで、最低限の研究成果は得られた。これら2つの要素を考慮して、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
就職のため特別研究員の身分は辞退するが、引き続き同プロジェクトに従事する。最終年度は、これまで集めたデータ(課題1)に各国の共同研究者のデータを加えて地球規模の解析に取り組む予定である(課題2,3)。 しかしながら、コロナウイルス流行の影響を受け、共同研究者を含めて研究の進展が遅れている。このため、地球規模解析のための十分なデータが集まるかは未定である。従って、地球規模解析のための基盤構築を中核に据えて、状況次第で可能であれば国際ワークショップの開催も視野に入れる方策をとる。
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